11月19日 営業担当者の雑記

昨日東日本大震災で千葉県山武郡の自宅が全壊し住めなくなったため、同居していた足の不自由な実姉を君津の山林に置き去りにした罪で男が逮捕されたと言う報道がありました。実姉は置き去りにされた半月ほど経って身元不明の遺体として発見されたようです。とっさに姨捨山伝説を思い出しました。深沢七郎の「楢山節考」では貧しい農村のやむにやまれぬ風習としてこれでもかというほど人間の業が描きだされカンヌの映画祭で人々に大きな衝撃を与えた映画にもなりました。70歳になると楢山参りといって家族の為に口減らしの為に自らその最後を山で迎えるというあの話です。小説の中では毅然として死地に赴く母親とそれを幇助せざるを得ない息子の切なさが描かれていますが捕まった男はどんな気持だったのでしょうか。彼の心の中を覗くことはできませんしだからその行為に至った心理も分かりませんが置いていくものも置かれていかれるものも地獄だったことでしょう。捨てられた四月といえばまだ夜は寒く、食べ物もない歩けない姉。やるせない話です。