11月28日 名樹散椿

会社の机の前に速水御舟の「名樹散椿」の超ミニチュア版屏風があります。これは京都昆陽山地蔵堂通称「椿寺」の五色八重散椿を描いたもので日本画の収集で有名な山種美術館の代表的な作品です。唐突に椿の話ですが今、家の近所の庭々では山茶花が見頃です。すでに散り始めているものもありますが白やピンクの可愛らしい花が緑の葉から顔を出しています。私は椿と山茶花の違いはよく分かっていませんが山茶花は今頃から2月くらいまでそれより少し遅れて椿が咲くようです。私が昼寝によく行く祖光院にも大きな椿がありますがこちらのは全体的に大きく手入れもされてないのであまり風情はありません。それに比べ「名樹散椿」の上の方から流れ咲く五色椿の見事さは豪華絢爛で机の前にある小さい作り物ですが仕事が詰まったときふっと目に入ると心が穏やかになります。椿寺の実物より御舟の感性で膨らませた作品の方が凄いのかもしれません。これが芸術なのですね。

1月14日 名樹散椿

今日八柱霊園の脇を車で通っていると2,30mに亘って塀の上の方から紅い椿が頭を覗かせていました。この時期深い緑の葉と真っ赤な花の対照が鮮やかな椿はとても目立ちます。ふと以前見たことがある速水御舟の「名樹散椿」の絵を思い出しました。この二曲一双の屏風絵は山種美術館が所蔵する重要文化財の一つで展覧会で見てとても気に入り会社の机の上にそのミニチュアを飾っています。京都地蔵院に咲く五色八重散椿がモデルとのことですが実物はもう枯れ今あるのは二代目とのこと。バックの金地に右上から左下にかけて大きな枝がくすんだ緑色の地面にしな垂れかかり赤、白、ピンクなどの花が満開で艶やかに咲いています。そしてそれが数片づつ散っています。一般的な椿は花弁全部が落ちるのですがこの花は山茶花の様に花びらがあちこちに散っています。何とも大胆で鮮やかな色使いはこの樹の圧倒的な存在感をものの見事に表現しています。