ご存じでしたか? 今日は「ボクシングデー」。

日本のクリスマスはイブの24日がピークで、25日になるとそそくさと後始末をして、いよいよ年末年始のムード一色になるように思います。25日の朝を楽しみに待っているのは、サンタクロースからのプレゼントを心待ちにしている子供たちくらいなのかもしれません。

さて、アメリカでもクリスマスイブがもっとも盛り上がるのは日本と同様ですが、日本と異なるのは25日がお休みでお店もあまり営業しておらず、「家族で一日のんびりと過ごす」のが伝統的な慣習なのだそうです。

一方、イギリスのクリスマスはお正月と一体化しており、クリスマスから新年の1月5日までが連続したイベントウィークとなっています。日本の年賀状の役割を果たすのがクリスマスカード。届いたクリスマスカードは1月5日まで飾っておくのがマナーとされています。

さて、日本ではイブのメインイベントとされるクリスマスディナーですが、イギリスでは最大のご馳走は25日のクリスマス当日、しかもディナーではなく午後にいただく「遅めの昼食」といった位置づけです。

そして、クリスマスの翌日、12月26日は祝日となっていて「Boxing Day(ボクシング・デー)」と呼ばれます。

ボクシングといっても、別に殴りっこをするわけではありません。クリスマスの翌日、プレゼントの入った箱(box)を持って教会に出かけた風習の名残(今もそうしている人たちは大勢いるようです)で、教会や裕福な人が貧しい人のために施しをする日でもあります。

さて、もっとユニークな風習を持つフィリピンのクリスマスについてご紹介しましょう。

フィリピンでは、企業が従業員に”13th month pay”という賃金を支払います。これはボーナスとは別で、会社には法律で支払いが義務づけられています。

フィリピンの労働層は決して豊かとは言えませんが、こうした制度のおかげで心も懐も豊かに新年が迎えられるのではないでしょうか。

フィリピンのクリスマススイーツは「プト(Puto)」と呼ばれる、蒸し米をココナツミルクで味付けしたものと「ビビンカ(bibingka)」という米粉を蒸してココナツフレークやチーズなどをトッピングしたお菓子。いかにもフィリピンらしい食べ物です。

さて、なぜアメリカ、イギリス……ときて突然フィリピンのクリスマスを紹介したのか? というと、実はボクシング・デーである今日、どうしても忘れられない「彼ら」のことについて触れたかったからです。

「彼ら」とは、フィリピンから来て新聞配達などをしながら学業に励むフィリピン留学生たちのことです。

フィリピンに限りませんが、日本の一部の新聞販売店などでは経済的な事情から自国で進学できない若者を日本に招いています。新聞販売店だけでなく、日本の多くの製造業や小売業、流通業は深刻な人手不足に苦しんでいます。海外の若い人たちに働いてもらう代わりに進学を支援する。そして一定の年数が経過したら正社員として迎え入れたり、本人の進みたい進路に進むのを支援してあげたりというwin-winの関係を目指しています。待遇も業務量も日本人と差別はありません。

とはいえ。異国で慣れない仕事に励む彼ら(もちろん女性もいます)のことを思うと胸が痛むのです。

新聞配達にイブもクリスマスもありません。もちろん13th month payもありません(日本人と同じようにボーナスは支給されているそうです)。さぞやつらいこともあるだろう、心細い時もあるだろうと思いやられるのです。

しかし彼らのほとんどは非常に真面目で優秀。仕事にも前向きで、給料の大半を将来のために貯蓄したり母国に仕送りしたりしているといいます。

皆さん、もし街中で彼らの……働く外国人の若い人々を見たら、優しい言葉をかけないまでも暖かい眼差しで見てあげてください。彼らの力がきっと日本の将来のために役立つはずです。