9月12日 読売歌壇栗木京子
今週の選は「手紙書き切手を探すその間に手紙を失くし老いを感じる:谷 布紗子」ほんとによく忘れるものです。最近は名前を思い出さない同士で会話が成り立つのが不思議です。「ほらよくテレビに出ている元テニス選手の大きな人実はいいとこのボンらしいよ」「あの人相変わらず元気だわね、さっきも出てたわ」なんて会話はざらです。困るのは取り敢えず二階に上がったのですがさて何をしに来たのか思い出せない時です。「おーい 俺何しに二階に上がったのか分かる」と尋ねると「パジャマ取りに行ったんじゃないの?」と教えてくれたので暫く探しているうちにパジャマを着ているのに気付き「パジャマじゃないけど」というと「ところであなたどこにいるの?」と聞かれるとさすがに青くなります。お互いさまなのですが一応亭主の威厳?で「ぼけてんじゃねーよ」などといっておりますが敵も先刻ご承知「愛してるわよ」などと訳のわからないことをいっております。