11月7日 読売歌壇栗木京子
今週の選は「カーディガン一枚分の秋が来てスケジュール帳も息吹きかえす:壇上りく」この作者はきっと作歌生活の長い方なのか言葉への感性がよほど優れた人なのでしょう秋が少しづつ進んでいくのを「カーディガン一枚分」と表現しました。昔から秋が深まっていくのを「畳一枚づつ」といったり「秋の日はつるべ落とし」といったりしますが我が家に畳の部屋はありませんし「つるべ」などという言葉は井戸が少なくなった今死語かもしれません。そんななか独自の言い回しを見つけたのですね凄いものです。また多分コロナ禍であるいは暑さを避けてもあるかもしれませんがお出かけの機会が減っていたのがようやくスケジュールが埋まりだしたというのですね。季節がよくなり気分も高まりなんだかこれから楽しいことが一杯ありそうなそんな予感がする歌です。ところで栗木さんは最近「新しき過去」という短歌集を出されたようです。彼女の今を覗いてみるつもりです。