10月11日 読売歌壇栗木京子

今週の栗木氏の選は「鹿児島で買ったみやげのかつお節まるで縄文の石の包丁:甲斐田祥」この方奈良の11歳の小学生。なんとも素直な歌です。これは栗木さんでなければ選ばないような気がします。思った通りを口に出るままに歌にしたような感じです。確かにあの黒っぽい硬い先のとがった形は縄文の石包丁です。学校で習ったのかそれとも考古学が好きで知っていたのか、この場面で出てくるのがうらやましいな。修学旅行で鹿児島に行ったのでしょうか。枕崎は日本有数のかつお節の産地なのできっと修学旅行の日程の中に入っているのですね。こんなに素直に感じたままを表現できればいいな。素直といえば栗木さんの若い頃の作品に「退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らずさよなら京都」という私の大好きな歌があります。素直という言葉以外にはこの状況を言い表せない、そんな言葉です。歌の流れも実に素直で多分栗木さんの性格そのままなんだと思います。