10月3日 読売歌壇栗木京子

今週の選は「母よ母よムクゲの花の咲きたるぞ底紅愛でしあなたを思う:恒川鋭夫」これにはとても共感します。私の母は花カイドウが大好きでした。生前何故好きなのかを聞き洩らしたのですが梅でなく桜でなく桃でもなく花カイドウというのが母らしいと思います。派手でごてごてしているので私はあまり好きになれないのですが、我が家のほんの小さな庭にも植えました。毎年うるさいほどの花をつけます。そのたびに母を思い出します。もう命日くらいしか思い出さなくなったのですがこの花が咲くと若くてきれいだったころの母が目に浮かびます。亡くなっても母は女なのでしょうか本当にきれいだったころの顔でしか現れません。男はもしかしたら私が特別そうなのかもしれませんがいくつになっても「母っこ」です。働き詰めでほとんど遊んでもらった記憶がなく花に思いを寄せるといった趣味もなかった父親は申し訳ないのですが思い出すきっかけがあまりありません。