2014年8月4日 営業担当者の雑記

昨日の日経に「土偶の一万年」という記事が出ていました。先日佐倉の歴史博物館に行き縄文土器の素晴らしさに圧倒されたばかりだったので興味を持って読みました。国学院大学の小林達雄氏は「土偶とは本来、人間でなく自然界の精霊を表現したものだったので人間と同じ姿形では精霊とは言えない。顔を形作るのは何千年もの間タブーだった」とおっしゃる。それが縄文時代中期のある時点で堰を切ったように土偶は大型化し、頭部や手足が形作られ様々な表現が試みられるようになった。その中でも山形県で出土した「縄文の女神」。その複製を依頼された陶芸家濱田友緒氏は「4,500年も前に作られたという事が信じられない、洗練されたデザインは今日前衛彫刻や現代アートとしても高く評価されるに違いない」と。さらに山梨県で出土した「円錐形土偶」の表情は子を宿した女性の特徴を捉え、表現したいという旺盛な意欲が伝わってくる。タブーを超越できるだけの力量と強い意志を持った一人の天才的な作り手の面影が浮かび上がると筆者。戦後濱田庄司、岡本太郎、柳宗悦など土偶に強く魅せられた現代の文化人は多いが、土偶を考古学の枠に押し込め、日本の美術史は飛鳥文化や白鳳文化に始まるとする風潮は依然根強い。同時代の世界各地の文化と比較しても土偶のデザイン性や多様性は圧倒的。日本独自の文化という点からもっと評価すべきではと文化庁文化財調査官原田氏。