4月14日 聖徳太子が消えた
昨日の日経夕刊の「あすへの話題」というコラムに文化人類学者の上田紀行氏が面白いことを書いていました。娘さんが高校の日本史から聖徳太子という名前が消え厩戸王になり彼の業績とされる「冠位十二階の制定」「憲法十七条の制定」「遣隋使の派遣」も政策チームの一人にすぎないというのです。厩戸皇子が登場する「日本書紀」は当時の政変を反映したもので、滅ぼされた蘇我馬子の功績を厩戸皇子に付け替え聖人化し後世「聖徳太子」という名で太子信仰が盛り上がったのであり信仰対象の聖徳太子と実際の厩戸皇子は別存在だといいます。そして小学校と高校で記述が違うのも「歴史は後世の人の意図によって創られたものだ」という大切な事実を学ぶことができるからありだとも。さらにフィクションの聖徳太子を1万円のお札にしたのも原価20円ほどのお札が1万円の価値をもつのは「信用」であり、信用もフィクションで太子の「信用」は絶大、不滅なのだと結ぶ。