4月12日 春浅き大堰の水に
もう少し浅い頃の春の歌ですが陽気がよくなってくるといつも思い出す歌があります。「春浅き大堰の水に漕ぎ出だし三人称にて未来を語る:栗木京子」私より少し後の世代のかたで京都での学生生活を歌っているのですが、ようやく少しづつ世の中も穏やかになってき始めた時代で水ぬるむころ京都の大堰川に船を出し友達と少し背伸びをした未来を語り合っているのですね。また「退屈をかくも素直に愛しゐし日々は還らず さよなら京都」と青春の一コマも歌っています。心に余裕がなく世の中を斜交いに見ていた当時の私から見るとなんとも羨ましいほどの心根です。希望にあふれ生きていること自身がうれしくてしょうがないといった気持ちが素直に出た作品は面と向かうと「センティメンタル」と馬鹿にしていたであろう当時の私とそれを思い出しながらそんなにしかめっ面しなくてもと苦笑してしまう今の私がどこかで絡み合いなんとも不思議な感覚に陥ります。