10月29日 その一目惚れ迷惑です
夏目漱石は大変な犬好きとしても知られており飼い犬ヘクトウが10月下旬に姿を消し31日に近所の家で死んでいるのが発見されたとき「わが犬のために」と題して「秋風の聞こえぬ土に埋めてやりぬ」という句を作りました。愁々と秋風が吹く季節に亡くなった犬を悼みその寂しさを詠んだ句で漱石の犬への愛情の深さがよく分かりますが一方最近見たテレビ広告に「その一目惚れ 迷惑です」というのがあります。可愛い犬から大きな目で見られた人が満足な世話も出来ないのに衝動で買ってしまうことに警鐘を鳴らした広告です。飼い犬に深い愛情を持ち家族のように暮らしその死を悼む漱石。私の友人も長い間飼っていた大型犬が亡くなりその冷たくなった体を抱いた時二度と犬は飼うまいと思ったそうです。最近ファッションのような感覚で犬を飼い、手に負えなくなったらどこかに捨てるといった話を聞きます。大昔からの友人、犬を、命を粗末にしてほしくありません。