7月29日 きたやまおさむの警告
日経夕刊「あすへの話題」に定期掲載しているきたやまおさむ氏の今回の内容は「自我でやるしかない」。日本人の自我のあり方を臨床心理学者の鑪幹八郎は「無定形:不規則、統一のない、漠然とした」と呼んだ。周囲の支持を得るため意見がコロコロ変わる、敗戦後一億総自決かと思ったら掌を返したようにデモクラシーに飛びつき戦争責任も「空気」で決まったとやり過ごしてきた。昨今の官僚の忖度、コロナ対策などの例を引きながら私たちはこのような無定形を許す、つまり自分たちもそうなのだから仕方がないと。文章にも「私」という言葉すなわち自我は使われない。何も自我の無定形を自嘲しているのではない、今までは何とか回ってきたが危機的事態におけるこの国の決断は心の奥底に隠れ語られていない自我でやるしかないと結ぶ。角が立ってもこれまでは表に出てくることは美徳とされてこなかった「自我」で決断しなければ何も変わっていかないという警告。