5月12日 篠田桃紅

この3月に107歳で亡くなった書家篠田桃紅さんの本が新聞広告に出ています。私は篠田桃紅という方は名前ぐらいしかしりませんしその作品も見たことはありませんが宣伝されている「これでおしまい」というタイトルの本に興味を持ちました。彼女が遺した「人生の言葉」をまとめた作品のようで、その一部が紹介されています。例えば「墨絵はお利口。「これはこういう色ですよ」と何も押しつけない。私は墨というものの知恵の深さを深く感じ取りました」というのがあります。確かに墨は白色から漆黒までのいわば単色ですが書く人により千色を使った作品よりはるかに色彩に富んでいるものがあります。それは書こうとしている物の本質、存在をしっかり把握した作者の表現に因るものでしょうが一方それをどこまで感じ取ることができるかという鑑賞する側の能力も試されています。作品は何も言いませんが見る側によりいかようにも受け取れるということなのですね。