9月18日 子規の命日
明日は「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」で有名な正岡子規の命日です。1902年35歳でその有り余る才能を全部使い切った感のある子規は亡くなる前日「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」を含む絶筆三句を残しています。脊椎カリエスなどで若い頃から病床にあり晩年はほとんど寝たきりで絶筆は本人が仰向けに筆を走らせたものだという。もうこの世に未練はないのか彼岸から死の間際まで病に苦しんでいる自分を冷静に見ている。この自己客観と胆力に彼の生涯が要約されていると大岡信はいう。学生時代からの親友夏目漱石はイギリスに留学する際多分子規とは生きて再び会えることはないだろうと覚悟を決めていたがそれでも虚子から受けた死去の報に「筒袖や秋の柩にしたがわず」など五句を手向けている。子規は俳句、短歌の作者として一時代を築きまた後世に影響を与えただけでなくアンソロジストとして万葉集以来の莫大な量の作品を系統立てる大仕事もしている。