8月19日 平和の句
日経夕刊に作家の川上弘美氏が戦時の俳句を取り上げていたので私もいくつかご紹介します。「戦争が廊下の奥に立ってゐた:渡辺白泉」これは昭和14年の作。心ある人たちはそして冷静に世の動きを見ていた人は見通していたのですね。「いっせいに柱の燃ゆる都かな:三橋敏夫」昭和20年3月20日の東京大空襲。この夜だけで死者は10万人、罹災者は100万人を超すという。アメリカ軍の綿密な殺人計画が大成功した瞬間だった。木と紙でできた家々をいかに効率的に燃やすかという実験を重ねて遂行された作戦はものの見事に大東京を焼き尽くした。「おそるべき君等の乳房夏来る:西東三鬼」昭和21年の作。すっからかんになった東京にようやく生活の動きが出始め戦争で多くの男達が亡くなった今、これからの世の中を立ち上げるのは私達だ!とでもいうようにそしてそれまでおしゃれをすることもままならなかった女性達が誇らかに歩いている。平和の喜び。