3月14日 営業担当者の雑記
昨晩近所の白沈丁花が満開になっているのを発見しました。思わず鼻を近づけその香りを思い切り吸いこんで家に帰りました。赤いのより少し甘めで柔らかく鼻腔をくすぐる感じで一般的な沈丁花が脳髄まで響くのとは少し違います。そして家に帰ってもずっとこの香りが鼻周辺に留まっていました。昨日「香りを育成する装置」と題し山本貴光氏がプルーストの「失われた時を求めて」を引用し紅茶に浸したプチットマドレーヌの風味から、はからずもかつての記憶が蘇るという人口に膾炙しているフレーズを紹介していました。さらに「私はときどき街中で鼻にする香りから、幼少時の光景を思い出すことがある。もう少しその記憶をたどってみたいと思うのだけれど、香りが去るとともに記憶も再びどこかへ消えてしまう。」と続けます。香りというのは一瞬で時空を超え記憶の彼方に立ち戻らせ網膜に鮮明な風景を映しだします。記憶装置は匂いでスイッチが入るようです。