4月6日 営業担当者の雑記
昨晩大岡信の逝去が報じられました。彼の人とその業績については新聞などで詳しく書かれているので私が受けた影響を記します。私も朝日新聞連載の「折々のうた」で彼を知りその全刊、さらにいくつかの著作またかれの本から窪田空穂も知りました。2015年世田谷文学館での大岡信展で仲間との連詩あるいは若いころの詩が自筆の書で展示してあったのを覚えています。中でもライフストーリーという題で「草府にて」に収められている「一羽でも宇宙を満たす鳥の声 二羽でも宇宙に充満する鳥の静寂」という詩に彼の一つのテーマが何となく見えたような気がしました。谷川俊太郎も窪田空穂もことばと沈黙のはざまを繰り返し詠っています。また「折々のうた」の中では日本の古典からだけでなく世界各地の子供達の「ハイク」を取り上げているのにも興をそそられました。「小川のせせらぎ/その音の中に聞こえるよ/ぼくがいま考えていることが」というメキシコの11歳の少年の作品などは心を打ちます。溢れる創作とアンソロジストとして不世出の傑物文学者。惜しい。