12月11日 営業担当者の雑記

野坂昭如逝去85歳。また一人戦争を知っているその悲惨さを腹に持ちながら文学に政治活動に突き抜けた人が亡くなった。戦争を知らない、頭でしかその何たるかを知らない私達の世代からみれば一言一言、一語一語がとても重く本物だった。今さら言うまでもないが「火垂るの墓」はその深い悲しみと怒りの体験を乗り越えようやく言葉に出していえるようになった彼のもしかしたら懺悔の詩かもしれません。今朝の日経に大好きな寂聴さんの追悼文があります。彼女の思いがこもった素敵な内容です。悲しみばかりが、称賛ばかりが亡くなった人へのお悔やみではありません。寂聴さんが、脳梗塞で倒れ療養中の野坂昭如と対談した後編集者が瀬戸内さんをどう思われますかと聞いた時「や、さ、し、い」と答えて下さったと書いています。しかし実は彼こそ、その本質はやさしさだと思います。深い所にある優しさなのだろうと思います。才能があり勇気があり腹が据わり決して媚びたり言い繕ったりすることなくしっかりと人間の本質を見据えたそんな人が亡くなった。