8月10日 営業担当者の雑記

「そよりともせいで秋立つ事かいの:鬼貫」何とも諧謔的な句で大好きです。風流な人とは季節に先駆けて自然の変化をいち早く感じさりげなく「どうだ」という人なのかもしれません。この鬼貫先生はそれを少々皮肉気味に何の変化もない、風だって今までと同じく暑いままで空気の流れもないそれでも「立秋」になったというんだなと言い放つ。しかしそうはいいつつぼちぼち夏は往こうとしているぞと感じたのですね。物事にではなく多分「立秋」という言葉に。そう言っている間に「そより」と拭く風が、そしてその風の中に微かに生まれている秋が本当にやってくるぞと心待ちにしている様子がよく出ていると思います。そして今度は「朝も秋夕べも秋の暑さ哉」とまた洒落のめすのです。最後まで発句の宗匠として生き続けた芭蕉も結構ですがこの口語体はたまりません。