3月30日 営業担当者の雑記
東京はあちこちで桜の便りが聞こえ初めてきました。今週は大好きな西行作の桜に題を取った歌を紹介したいと思います。まずは「吉野山こずゑの花を見し日より心は身にも添わずなりにき」場所は花の名所吉野、といっても平安末期に桜を見に吉野に通うというのは余程の酔狂人。京都にその噂くらいはあったとは思うが何しろ遠隔地。貴族たちは死ぬ思いで熊野詣はしたろうが吉野山に桜を見に行く人はごく稀であったろう。その昔役小角が桜樹に蔵王権現像を彫ったのに由来し神木として大事にされてきた吉野山の桜を見てしまった西行は、それからというものこの時期になると寝ても覚めても桜がチラつき挙句の果て心がどこか遠くに行ってしまい夢遊病者のようになってしまったというのである。さもありなん。一目千本の白山桜が全山に咲き誇った姿を想像するだけで西行ならずとも心は浮かれ狂おしくなります。