3月13日 妻の帯状疱疹

家の奥方がもう一か月以上帯状疱疹で苦しんでいます。医者には早く見つけたのでよかったですねなどと言われたらしいのだが経験者によると全治まで三月かかったとか。疱疹は腰辺りだけで塗薬で比較的治るのは早かったのだが時々お腹がぐーと締め付けられたようになりしばらく動けなくなるようです。最初のころは車に乗っている時や歩いている時に発作が起きると危険なほど痛かったようです。少しは良くなったといっていますがそれでも日常生活はかなり不自由なようです。小さいころの水疱瘡の生き残りが年を経て元気になるのが原因らしく私も水疱瘡は経験していますが予防注射をしておけば帯状疱疹の発作は非常に低い確率になるとのことで早速打ってきました。1万円ほどかかりましたが妻の苦しみを見ていると安いものかなとも思います。それにしてもウイルス性の病気は一度罹患すれば体内に免疫が出来るので大丈夫と信じていたのですが違うのですね。

3月10日 東日本大震災

東日本大震災が起きてから明日で12年が過ぎようとしています。現地の凄まじさには比べようもないのですがここ松戸での揺れは今でも鮮明に覚えています。店に用があり話していたら突然とんでもない揺れで机の上のチラシはみんな吹き飛び海外からの店員さんは泣き叫びながら机の下に潜り込みました。すぐに家に電話したら食器棚の扉が開き床に散乱、目につくところにあった物が恐ろしい状態になったとのこと。そして津波!!とてもこの世の出来事とは思えない地獄絵でした。逃げ切れなかった人、高台に逃げたのにそれ以上の高さで波が襲ってきた犠牲者。明日は分からないのが人の世とはいうものの何故こんな惨いことがと神仏を呪いたくなります。親を子供を孫をジジババを失くした、そしてつい今迄住んでいた家がなくなってしまった人たち。その心労はいかばかりか。それでも多分忘れることはあり得ない体験を乗り越え今を生き抜いている人たちを尊敬します。

3月9日 春夜

春宵一刻値千金と言われますが春の夜も大変なものです。このところ会社からの帰り道、家のそばまで来ると毎年楽しみにしている香りが漂ってき始めました。どこの家のどのあたりに咲いているのか朝探してみるのですが見当たりません。でもこれは間違いなく「沈丁花」です。我が家の3軒隣の庭に赤と白の沈丁花が咲き始めていますがまさにこの香りです。私は毎年この香りは脳髄に響くなどといっていますのでもういい加減脳はしびれが取れないままになってしまいました。近頃は頸椎を痛め指までしびれていますが。本当に沈丁花の香りは何と表現すればいいのでしょうか。梅は涼やかな甘い匂いなどといいます。秋の金木犀は甘い果物のようなとでもいうのでしょうか甘さが目立ちますが沈丁花はただ甘いのではなく漢方のようなえも言えぬ独特の香りなのです。きっと鼻をくすぐるだけではなく直接脳神経を刺激する物質が含まれているのだと思います。今夜も痺れましょう。

3月8日 久しぶり

このところ荷物運搬が多く持病の腰の具合があまりよくなく少々滅入っていたのですが今朝新聞を取りに庭に出たら一本水仙が芽を出していました。数年まえに根分けをしてあちこちに植えたのですが今年も全部ダメ。葉は伸びてもまったく花芽が付かずがっかりしていたのですが今頃になって一本咲きそうでいっぺんで気分がよくなりました。今年もしっかり楽しませてくれた鹿児島紅梅も先日の雨でほとんど花を落としてしまったのですがこの水仙で一気に気分上昇です。さらに冬の間の枯れ木状態の時にボキボキ折れて心配していたのですが逆境に強い雪柳は今年も2,3輪すでに花がついているのを発見しました。よくみると母親が好きだった花カイドウにも花芽がついていました。わざわざ「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同」などと「代悲白頭翁」を引っ張りだすこともないのですが我が家のごくごく小さな庭にも年は変われど毎年花をつける自然に感慨を覚えます。

3月6日 読売歌壇栗木京子

今週の選は「白鵬の断髪式に思ひ出すお父さまといふ美しき呼び名:大武美和子」この作者も感じたのですね。私も白鵬の断髪式で娘さんがお礼の言葉をのべていたのだがその時白鵬に向かって「お父様」と呼びかけたのには驚きました。なんとなんと今や死語かと思っていたこんな言葉を使うとは。私などは子供へのしつけが甚だできていなく娘は「おとん、おかん」と呼びます。息子たちは何と呼んでいるかなア。多分面と向かっては呼ぶんでないように思います。私は小さい時は「とうちゃん、かあちゃん」小学高学年から学校のみんなに合わせ「お父さん、お母さん」と呼び始めたように記憶しています。亡くなった両親のことは今下の名前で呼んでいます。世間ではパパ、ママが圧倒的に多いのでしょうが一部お坊ちゃま、お嬢ちゃま学校ではまだ「お父様」は残っているのでしょう。それにしてもモンゴル出身の白鵬の娘さんから美しい言葉を聞かせてもらいました。

3月3日 米朝の新作発見

昨日の新聞に7年前に亡くなった人間国宝の落語家、桂米朝さんの新作落語草稿が自宅で見つかったと報じられていました。彼は戦後の混乱期に落語が衰退してしまうのを恐れ必死で落語を収集しその語りを後世に残すために本人が落語家になったともいわれています。学研肌の人のようだが話はばかばかしくししっかりと大阪商人の言葉をしゃべる落語家でした。あえてそのようにいうのもいわゆるテレビで見る少々うるさい大阪弁が一般的になっているからなのですが。とにかく古い話を再興し実際に高座に挙げた(私はその功績が人間国宝級だと思うのですが)まったくもって落語界の大恩人です。というわけでもっぱら古典だと思っていたのですが新作も作っていたのですね。裏紙のメモなどから米朝30歳半ばの作のようだとのこと。会話文の形ではないとの事で息子の米團治が話を練り上げネタにするのかもしれません。親父が作った噺を息子が仕上げるというのも乙ですね。

3月2日 東大寺修二会

3月1日から2週間に亘り奈良東大寺で修二会が催されます。私は実際に見たことはないのですが奈良時代から休むことなく1200回以上続いているというこの儀式はいろんな人が感想を述べており一度は拝みたいもんだと思っています。12日目のお水取りや松明が有名ですが実際にはこの期間中修業を許された若い僧たちが全身全霊を投げうち世界平和などを祈るものなのですね。かつて芭蕉もこの儀式を見たことがあるようで「水とりや氷の僧の沓の音」の句を作っています。沓は木靴みたいなんものでこれを履いて様々な修行に走り回るのですね。私の好きな白洲正子さんの随筆にもこ荘厳な場面が描写されています。旧暦2月すでに厳冬期は過ぎたとはいえ夜中の寒さはまだまだ厳しいものがあるのでしょうが僧侶たちの一心不乱の祈りは熱気を帯び声明は厳かに響き渡るのでしょう。今年は東大寺修二会の声明が5月に大阪フェスティバルホールで聴けるとのことです。

3月1日 ロシアの俳句

昨日の日経夕刊「あすへの話題」に翻訳家の斎藤真理子氏が「ウクライナ」と題し「俳句が伝える戦時下のロシアーロシアの市民、8人へのインタビュー」という本の中からロシア人のオレクさんがロシア語で詠んだ句を紹介していました。「二月 川面に穴 ルーシの水すべて黒し」ルーシというのは1000年ほど前に栄えたキエフ・ルーシの事でプーチン大統領のいうロシアを指しているようです。今は一面凍り付いている川の一か所が溶け穴が開いておりそこが真っ黒に見えた様子を詠んだ句というが実はウクライナ侵攻のことをいっているようです。穴は一か所ではなくそしてその穴はどす黒く濁っているのですね。暗黒の世界とでもいうのでしょうかあるいは悪で覆いつくされているとでもいえばいいのでしょうか。公には戦争とは言わず特別軍事作戦と称されあからさまには物を申せない彼らの暗喩のようです。もう一句「たんぽぽに青い空 至る所に ウクライナ」