12月26日 読売歌壇栗木京子
今週の選は「種なしのぶどうにときおりある種を愛しきものの一つに数う:原田りえ子」この歌に栗木氏は種無しブドウは食べやすいが人間は少し横着になりすぎたかもしれない。種にはぶどうの命が凝縮されている、命の源の愛しさに気付かせてくれる一首との評。はなはだ勝手な解釈をすると3年前にご母堂を失くした栗木氏には命の繋がりが特に深く沁みているのではないだろうか。直近の歌集「新しき過去」にはそんな彼女の母親に対する愛憎、惜別、無念、開放感に満たされており種無しブドウの歌を見た瞬間そんなないまぜになった感情が噴出したのではないだろうか。深読みすぎることは承知でたかが種無しブドウを食べたということから命の大切さそして人間があまりに便利さに慣れてしまったため植物が自らのDNAを伝えようとすることを断ち切ってしまった身勝手さにまで言及している。きっと栗木氏はこの歌に様々な感情を持ったのだろうと想像します。