3月13日 営業担当者の雑記

どうでもいいような話。今朝の日経最終面に「江戸の景色 十選」と題し歌川国貞の「雪のあした」という浮世絵が出ていました。内容は正に江戸庶民の生活の一端で正月の若水汲みという行事に近所の人たちが井戸の周りに集まって子供が遊んでいる光景です。その中で井戸に注連縄を張り巡らせてあるのを見て思い出したのですが千葉では左右の太さがかなり違う注連縄が正月前お店に出ています。見たことがない不思議な形だなと思っていたのですが偶々一茶の正月の句文を読んでいたら「竈は大根注連といふものを引はへて」という言葉が出てきます。大根注連というのも初めて聞く言葉なので調べてみますと江戸では真中が太く左右が段々細くなる一般的な注連縄と左右の太さが違う注連縄とがあり前者を大根注連後者を牛蒡注連と呼んでおり、私が千葉で見ているのは牛蒡注連なのですね。所変われば何とやらと言いますが長い間の不思議の一つが氷解しました。

3月12日 営業担当者の雑記

先日前職の先輩から冊子が送られてきました。これは彼が所属していた長崎大学の山岳部が発行している会報です。彼とは出身校は違いますが先輩、上司として薫陶受け今も時にメールを交換しています。彼は大学卒業後直には就職せずヒマラヤ遠征の準備を進めチームを纏めた山男です。卒業後もう50年近くなっているのですが会員達の消息を拝見すると本当にお元気な方々がいます。毎年山スキーを楽しんでいる人、日本アルプスを攻め続けている人達、孫から隊長と呼ばれながら共に登山を楽しんでいる人等などもう多彩です。昨今大学の山岳部がどんどん無くなっているというニュースを聞きます。高い山に登るにはそれ相応の体力が必要で毎日地道な訓練をするのでしょうが何となく汗臭く、汚いといったイメージで現代の学生には受けないのでしょう。しかし青春時代をザイル一本に託した友との終生の交流を見るにつけ怠惰な学生生活を送った私には羨ましく思います。

3月9日 営業担当者の雑記

73年前の今日夜中から東京大空襲が始まりました。日経「私の履歴書」掲載中の山折哲雄もその惨状に触れられていますがこれが始まった経緯、実施方法などを見聞きするにつけ何と悲惨な、無慈悲な、徹底的な大量殺戮だったのだろうと思います。「日本軍の戦意を削ぐため」というお題目があったようですが真夜中、住民が逃げられないように外側から焼き一挙に夥しい数の焼夷弾を落とし東京を焼き尽くし10万人近い人々を殺戮した。木造建ての日本建築を如何に効果的に破壊するか、どうしたら住民に多くの被害を与えることが出来るのか等綿密にシミュレーションした上での実行。一説によると当時はまだ脚光を浴びていなかった米空軍を認めさせるための行動という話もあるようだが、その目的は恐ろしい程に達せられ東京は焦土と化した。そしてその責任者は後日本国から立派な勲章を貰ったとか。名古屋、福岡を始め日本の主だった都市への空襲が始まった日です。

3月7日 営業担当者の雑記

今朝新聞を取りにいたら雪柳の花が一輪だけ咲いているのを見つけました。私は何故だか突然オー・ヘンリーの「最後の一葉」を思い出しました。教科書等にも出てくるあの話です。病気で心身ともに弱っている女性がベッドから見える木の葉が落ちて行くたびに自分の寿命が縮まっていき最後の葉が無くなくなった時その命も尽きるという話を信じてしまうのです。それを聞いた同じアパートに住んでいる老画家が病身をおし壁に一枚の葉を描くのですね。そして残っている葉を見て元気になって行く女の子、無理がたたり亡くなった老画家。今朝の雪柳は一輪がこれからどんどん増えていきまもなく樹を覆い尽くすほどになりますが小説の方は消え入る寸前の話です。単純に「一」繋がりだったのかもしれませんが私はどちらにも「命」の大切さ、未来に向かっての明るさで結びついているようにも思いました。もうすぐ東北大震災のあの日がやってきます。

3月6日 営業担当者の雑記

今朝同じ区画内にあるお家の庭で白い沈丁花を見つけました。ようやく花びらに見える顎が小さな筒状になって出揃っている段階で香りはまだありません。この家は庭の手入れをしているところを見たことがないのですが結構珍しい花があります。例えば白赤両方の沈丁花、ジューンベリーなどまた秋になると玄関に菊の鉢がいくつか並びます。暫くは枝が伸び放題で道路にはみ出ていたのですがいつの間にかきれいに揃えられていますので時々親御さんが若夫婦の為に庭の手入れをしているのかもしれません。我が家の雪柳のつぼみが目立つようになりました。今年も溢れるほどの小さな白い花を付けてくれるのでしょう。またミツバツツジのつぼみも大分大きくなりました。今ローズメリーが満開です。この花サイモンとガーファンクルの「スカボロフェア」に出てくる花で毎年これでもかと枝を切りますがしっかり青い小さな花を付けます。何よりこの香りが大好きです。

3月5日 営業担当者の雑記

今日は二十四節季の「啓蟄」これは虫等が冬籠りの土の中から出てくるという意味だとの事ですがここ数日の暖かさには多分虫たちもびっくりしたのではないでしょうか。この時期私の好きな句に「地虫出て土につまづきをりにけり:上野章子」があります。上野さんは虚子の六女とのことです。作句の才能が遺伝するのかは少々疑問がありますが何とも春の情景がうまく表現されています。ずっと土の中にいたので外の景色に慣れないのかはたまた暖かくなってきたのがうれしくてはしゃぎまわっているのか分かりませんが地虫のそして土までもがうきうきしてでこぼこしているような感じがします。数日の暖かさで一気に開いた梅は昨晩からの雨で大分散っています。寒暖を繰り返しながらこれから本格的な春に向かって季節が動いていきます。ついでに「春雨や土の笑いも野に余り:千代女」もご紹介しておきます。どちらも柔らかく繊細に季節の移ろいを切り取った句ですね。

3月2日 営業担当者の雑記

「水取りや氷の僧の沓の音:芭蕉」東大寺二月堂の修ニ会がこの1日から始まっています。私は実際に見たことはないのですがテレビで火の粉が飛び散る燃え盛る松明を抱えた僧が長い廊下を走っている姿を見たことがあります。これは3月12日の深夜若狭井という井戸から観音様にお供えする「お香水」を運ぶ練行衆の道明かりのためのもので修ニ会そのものは1250年来途絶えたことのないというとても荒行のようです。芭蕉の句にもあるように前行そして本行を乗り越えた修行僧が凍りつく深夜沓の音を響かせながら「お香水」を運ぶのですね。私の大好きな白洲正子さんの「名人は危うきに遊ぶ」の一節に荘厳な様子が書かれてあったのを思い出しました。昔モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの映画「The Bucket List」で死ぬまでにやりたい10のことを一つ一つつぶしていくというのがありましたが私も退職したら是非とも見たい儀式です。

3月1日 営業担当者の雑記

いやー今朝の天気はすごかったです。予報通りで丁度家を出る頃が風雨のピークでした。長靴、レインコートを着て出かけたのですが傘を両手で持たないと飛ばされるほどの強風で結局ズボンはびしょぬれ。長靴の上から雨が入り込み靴下も結構濡れてしまいました。予想に反し電車はほとんど普通通りに到着、ひと眠りして会社の最寄り駅に付いた頃は雨も上がり風も収まっていました。会社に付いてからレインコート、傘を広げ気温が高いので必要ないのだがストーブを入れ乾かしています。それでもこんなもので済んでいますが北の方は大変みたいですね。急速に発達し台風並みになった低気圧が日本海を進んでおり全国的に大荒れの天気。特に北海道は数年前に雪に依る参事が起きた時と状況が似ており「不要不急」でなければ外出は控えて下さいとのこと。春一番などと呑気なことは言っておれませんね。追伸 昼前から気温はぐんぐん上昇しど快晴になりました。