10月7日 秋の七草

秋の七草は万葉集の中で山上憶良が「萩の花尾花葛花撫子の花また藤袴朝貌の花」(朝貌は今の桔梗との説有力)と詠んだのが始まりとされているそうです。私はどこでみたのか「萩桔梗尾花葛花女郎花藤袴また撫子の花」と覚えています。いずれにしても秋の七草は風情のある花ばかりです。公園などでは万葉の花々とか秋の七草などとまとめて植えているところもあります。我が家にも萩を植えていたのですがあまりに伸びすぎ広がりすぎ猫の額を占めてしまったのでクレマチスに植え替えました。尾花を花といえるのか分かりませんが飯田蛇笏の名句「をりとりてはらりとおもきすゝきかな」のようにずっしりと白い穂をつけた薄はいかにも秋の象徴です。それぞれの花色は今主流の少し派手目とは違いくすみ気味です。桔梗色は平安の昔から青紫の代表色として伝わる優雅な色で私の大好きな色の一つです。この季節山野に入って七草を探すのもうれしいものですね。

10月6日 金木犀

ここ数日のうち急に金木犀の香りが立ち始めました。台風以降気温が下がり始め金木犀開花の適温になってきたということなのでしょう。特に暗くなり始めてから香るので帰宅途中空気の流れのように濃くなったり薄くなったりします。翌朝前日の香りの主を確かめなるほどと一人合点しています。我が家のは「銀木犀」で金ほど香りは強くありません。私はこちらのにおいの方が品がいいなと思い植えたのですが時期が重なり遠くからの金木犀の香りに侵略されています。金木犀の原種は中国の丹桂と呼ばれ沢山の種類があるようですがこれにも異説がありもしかしたら日本固有の花かもしれないとも言われているようです。すくなくと日本の風土にはとてもあっているのでしょう日本各地どこでもこの時期は金木犀香りに包まれます。学生時代は関西にいたのですがその香りは辺りを席巻していました。この花は散ると根元がオレンジ色に染まり桜とはまた違った風情があります。

 

 

10月5日 秩父の今

昨日秩父に「そばの花」と寺坂棚田のヒガンバナを見に行きました。今年は信州箕輪の赤そばがないので同じくそばの名所秩父荒川上田野と、日高市高麗の巾着田のヒガンバナ祭りが中止(花を切ったようだ)なので以前行ってよかった寺坂棚田のあぜ道に咲く花を楽しみに行きました。上田野の辺りにあるそば畑はちょうど満開で真っ白い花が武甲山のバックに咲いているのはとても結構な眺めでした。白い花の中に赤いのを数本見つけました。ただ寺坂棚田のヒガンバナはみんな根元から切ってあり多分コロナ禍を避けるためにそうしたのだと思いますが残念でした。傑作ぞろいの案山子が迎えてくれましたがお花の方は刈漏らしたのがあるばかりでした。それでも残っている花と棚田ごとに段々になっている稲架掛けそして武甲山を後ろに素人カメラマンは張り切りました。女房が前に買って気に入っている「黒米」の購入先を農作業をしていた人に教わり買って帰りました。

 

10月2日 ヒガンバナ

昨日営業途中にある松戸祖光院のヒガンバナを見てきました。ここは造園業者が入っておりびっしりとそして赤だけでなく白、黄色よピンクをうまく組み合わせとても見栄えがします。また庭園内には入れないのでどこからみても大体花で一杯です。お寺でヒガンバナとくれば何となく抹香臭い隠微なイメージがありますがこれほど沢山の花が咲いていると壮観としか言いようがありません。毎年楽しみにしている花ですが私は畑の高台、棚田などで天に向かって咲いているヒガンバナが大好きです。「つきぬけて天上の紺曼珠沙華:山口誓子」あるいは金子兜太の「曼珠沙華どれも腹だし秩父の子」の情景です。誓子の方はあくまで高い空に向かって孤高の花が咲いているさまを兜太のは無邪気な子供たちの元気いっぱいの姿を真っ赤なヒガンバナと対比させておりどちらも群花ではないように思います。少ないヒガンバナが凛として咲いている姿にはまぶしいほどの感動があります。

10月1日 中秋の名月

今日10月1日は旧暦でいうと8月15日ということで中秋なんですね。午前中は曇っていましたが夕方の天気を見ると大分晴れてきましたので今夜はお月さんが見えるかもしれません。我が家では子供がいたころから満月にお供え物をするといった習慣はありませんが適当に饅頭を買ってきたりということで月より団子の口です。それでも「今日の月はきれいだね」程度の会話はしております。名月をとってくれろと泣く子供はいませんし、この世をばわが世とぞ思うほど満足しているわけでもありませんが、それでも帰社途中に空を見上げ何となく気分がよくなり晩飯が旨いなどということは結構あります。西行に「面影の忘らるまじき別れかな名残を人の月に留めて」というのがあります。西行が若いころに思いを寄せたやんごとなき人の思い出なのでしょうかとてもしっとりとした歌ですがそれほどまでに心に留めている女人もいませんので平和なお月見が楽しめます。

 

9月30日 更級日記と松戸

今日の日経朝刊の「文化」に千年前菅原孝標の娘が書いた「更級日記」に歴史研究の観点から光が当てられているとありました。この本は作者13歳から40年程の回想録で上洛の道中から始まり全体の1/5を占める「上洛の紀」と呼ばれる部分に研究者が注目しているという。当時の政治・文化の中心は京都で東国に関する文献は少ないが「上洛の紀」は当時の交通や地理などを知る資料となりえるという。例えば下総から武蔵への道中「太日川というが上の瀬、まつさとの渡りの津」に泊まり川を渡ったとあるがこの「まつさと」は松戸を指しその語源は馬の港を示す「馬津」とする解釈があり、国司の旅は荷物を運ぶ多くの馬を伴っていた事を示す文献から、馬が渡れる上流の瀬で一行が宿泊できる安定した低地というと、砂州が発達した松戸市松戸になるという。仮名日記という一つの表現世界で膨大な研究の蓄積がある古典でも歴史学のアプローチでまだまだ新しい姿を見せるという。

9月29日 正代優勝

先の日曜日で大相撲が終わり関脇正代が優勝しました。併せて大関昇進も明日の審判部の会議で発表されそうだとのことです。千秋楽の大一番は相手が平幕最下位小兵の翔猿ということでとても緊張したようで普段は勝っても負けてもそっけない顔をしている正代も土俵を降り花道で付き人と顔を合わせた途端号泣している姿がテレビに映っていました。うれしいのに決まっていますが表情に出すのをためらっていたのが一挙に爆発したという感じでした。明日大関昇進が決まるようですがあの使者への口上はいつのころからか変な言い回しが流行っていますね。普段使ったこともというより日常生活でまず使わないどこかのえらい先生から聞いてきたと思われる四字熟語。私はあまり好きではありません。短い言葉だからこそ自分の言葉でうれしさと昇進の決意を述べることが大切なんだろうと思うのですが。力士みんなが目指しているであろう貴重な大関昇進の伝達式なのですから。

9月28日 半沢直樹

我が家には連続テレビドラマを見る習慣はないのですが、先週初めて「半沢直樹」を見て出演者が思い切り派手に、けれんたっぷりに顔芸、大仰な身振り素振りをするのに感激し昨日が最終回というので楽しみに見ました。大体話の筋が分かっていないのでこのドラマを語る資格はないのですが最後もやはり皆様の熱演にしびれました。きっとこの視聴率は30%を超すぞと思っていましたがやはりすごい視聴率だったようです。歌舞伎役者が出ているからというわけではなく多分演出家が出演者のキャラを活かした内容にしようと思ったのでしょうが、それでも演技の端々に六法を踏んでいるようなあるいは見えを切っている場面がありました。普通なら時代ががった演技に違和感がありそうですがやり続けているので誰もが乗ってしまった、演出家が乗せてしまったということなのでしょう。さてこの手法で大成功したので次は何をするのかプロデユーサーもテレビ局も大変ですね。

松戸祖光院のヒガンバナ

連休の前には何もなかった松戸金ケ作にある祖光院のお庭にヒガンバナが咲いています。今日は車の中からですのでよくは見えませんでしたが7,8分咲きといったところでしょうか。毎年仕事途中に立ち寄っていますがこのお寺さんには赤だけでなく白、黄色の花も結構咲いており二か所に別れその数2万本ともいわれている花々が楽しめます。今日のように雨の日はしっとりと落ち着いた様子で、晴れた日は木漏れ日に映える赤、白、黄色がとても鮮やかです。花が咲いている区域には入れませんのでロープ越しに見ることになりますが造園屋さんが手入れしているので本当に立派に咲きます。今日はまだカメラマンも数名程度でしたが土日ともなれば花を狙ったカメラマンが沢山集まり大勢の見物人で賑わうことでしょう。今年は巾着田が花をみんな摘み見物できないようにしていますしあちこちのイベントが中止になっているようなのでここの「ヒガンバナ」は貴重な場所です。

台風12号

当初の予報では台風12号の進路はかなり関東地方に接近しかつ秋雨前線を刺激するので大雨になるとのことでしたが幸い大した風雨にならなくてほっとしています。去年の秋続けざまに房総半島を襲ってきた台風の爪痕はまだ完全には復旧していないのでこの台風がどうなることかと心配していましたがそれほど大きな被害はなさそうです。今年の春桜を見に行った鋸南町にはまだ青いブルーシートがかかっている屋根が随分見られました。昨日のテレビではこの地区の被害が多すぎてまだまだ手が届いてないところが結構ありこの台風が心配だといっていましたので地元の人たちもやれやれでしょう。最近の台風は従来の沖縄辺りから大きく北東に向かう進路とは異なり太平洋を北上し一直線に関東上陸という今までにないパターンです。普段台風に慣れていないところですので対策が十分ではないのでしょう。ともあれこの台風で気温が一挙に下がったのはありがたいことです。