栗山配水塔が登録有形文化財に
「旧齋藤邸」に続き市内で2例目
千葉県水道局栗山浄水場内の「千葉県水道局栗山配水塔」が昨年10月27日付けで文部科学大臣により国の登録有形文化財(建造物)に登録された。登録有形文化財への登録は、昨年6月の古民家「旧齋藤邸」の主屋に続いて市内2例目。今月4日には千葉県水道局主催で登録記念イベントが行われ、登録証交付式のほか、施設公開や水道関連体験イベント、近隣小学校(矢切小学校・柿ノ木台小学校)吹奏楽部の演奏などが実施された。
「文化財登録制度」は、近年の国土開発や都市計画の進展、生活様式の変化などにより、社会的評価を受けるまもなく消滅の危機にさらされている近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために、平成8年に作られた。届出制と指導・助言などを基本とする緩やかな保護措置を講じるもので、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの。国宝・重要文化財)を補完するものだという。建造物では東京タワー、東大安田講堂、犬吠埼灯台(銚子市)、興風会館(野田市)など全国で1万件以上が登録されている。
千葉県水道局栗山配水塔は、鉄筋コンクリート造、内径15m、高さ32m、基礎土塁及び階段4基付。ドーム状の屋根の塔頂部にパーゴラ風の通気口が付いた円筒型高架水槽だ。
昭和15年に給水を開始した千葉県水道事務所江戸川水源工場(旧古ヶ崎浄水場)の施設の一部として、昭和12年に建設された。昭和33年に栗山浄水場が給水を開始して以降、同浄水場の管理となり、現在に至っている。太平洋戦争時には、攻撃目標とならないように、塔全体を黒ペンキで塗って戦禍を逃れたとされており、補修や塗装を数回行っているものの、創設当時の原型を保っている。
現在でも、現役の水道施設として松戸市一帯の配水を担うとともに、松戸給水場や船橋給水場への配水管の調圧水槽として重要な機能を果たしている。栗山の高台に当時のままの姿で厳然と建っている姿は、県営水道創設のシンボル、地域の象徴として貴重な歴史的景観をなしている。
栗山配水塔は、今回の登録以前に、平成18年度土木学会選奨土木遺産となっている。
また千葉分場1号配水池(千葉市)も今回、栗山配水塔とともに国の登録有形文化財に登録された。千葉県水道局の施設では千葉高架水槽(同)が平成19年7月に登録されている。