松戸唯一のデパート 伊勢丹松戸店
来月21日閉店 43年の歴史に幕
松戸市唯一のデパートとして長年営業を続けてきた、伊勢丹松戸店が来月21日、閉店を迎える。同店では1月17日より「ご愛顧感謝ファイナルフェスタ」を開催中で、今月28日からはその第3弾として特別企画の催しやスペシャルセールなどが行われる。「日本一楽しい百貨店」を目指してきたという伊勢丹松戸店。その最後に向け「記憶と記録に残るフィナーレを迎えるべく走り抜ける」としている。【竹中 景太】
伊勢丹松戸店が開店したのは1974年4月。校舎の老朽化や常磐線の複々線化に伴う騒音等で問題となっていた松戸市立中部小学校を移転させた跡地に、店舗棟(地下2階、地上11階)と事務所棟(地下3階、地上20階)からなる、当時東京以北で最大級の規模の「松戸ビルヂング」が建設され、その店舗棟で伊勢丹松戸店は営業を開始した。
時代はちょうど高度経済成長期が終わりを告げた頃だが、オープン当初の賑わいは大変なもので、「えらい賑わいで活気があった」(地元商店主)という。
1995年に隣接する長崎屋跡地にビルを建設し新館を増床。地下1階、地上10階、売り場面積約1万3500平方mの新館と既存店を合わせると、それまでの1・5倍増の3万1200平方mとなり、当時の柏・高島屋とほぼ同程度の広さになった。その翌年には売上高を336億円まで伸ばしたが、その後は、消費者の購買行動の変化や同一地域内の競合環境が厳しくなったことなどにより売上が低下し、赤字が恒常化していた。2002年に松戸駅から伊勢丹松戸店まで続く道路「伊勢丹通り」が整備されたり、13年には伊勢丹松戸店で大規模なリモデルが行われたが、黒字化までには至らなかった。
昨年9月には、市が伊勢丹松戸店に市の施設を移し、約10年間でテナント料などとして約21億円を支出する案を市議会に提案したが認められず、この数日後、三越伊勢丹ホールディングスが松戸店の営業終了を発表した。
「ファイナルフェスタ」開催中
「43年間の感謝を込めて…」。伊勢丹松戸店では1月17日から閉店を迎える3月21日までの64日間、「ご愛顧感謝ファイナルフェスタ」を開催している。
フェスタは3部構成で、第1弾(1月17日~2月6日)では「最後の大北海道展」や「大九州展」、よさこいソーラン演舞、現在開催中の第2弾(2月7日~27日)では「最後の婦人雑貨大市」(22日で終了)や「リビングスペシャルセール」(23日で終了)などを実施している。
第3弾(2月28日~3月21日)では、会場に用意したチロルチョコを食べて包み紙をモザイクボードに貼り付け、世界最大の文章「Thank you!」を作成するという特別企画「お客さまとギネス世界記録Ⓡに挑戦」(3月3日・4日)や、歌手のクリスタル・ケイによるスペシャルライブ(3月4日午後4時~・観覧フリー)などの催しが予定されている。こうしたイベントのほか、特価品などの販売も行われており、「連日前年を大きく上回るお客さまにご来店いただいております」(同店)としている。