チューニング 2018年1月14日
実家に帰ると犬の散歩が日課となる。朝夕私は1時間から1時間半かけてゆっくり散歩するので、犬が喜ぶ▼大分県竹田市。谷間にある我が家から山道をのぼり、尾根づたいに歩いて降りてくる。山の中にも民家や寺、小さな祠が点在している。遠くには久住山や祖母・傾山が影絵のように雄大な姿を見せている。美しいが、寂しい。子どもの頃からこの風景は私の心象に少なからず影響してきた▼子どものころは4万人を超えていた市の人口も2000年には1万7千人となり、市としては県で最少、全国でも8番目に小さな市となった。05年に荻、久住、直入の3つの町と合併して、現在は2万2千人▼人口規模は大きく異なるが、「昔は地域の中心だった」という点で、松戸市と重ねて見ることがある。大分市、熊本市には遠く、周辺から人が集まった。南画家の田能村竹田、音楽家の瀧廉太郎、日露戦争の英雄・広瀬武夫、彫刻家の朝倉文夫(隣町の朝地町出身)など、江戸時代後期から明治期にかけて多くの人材を輩出できたのも、そんな背景による▼しかし、近くに大都市がないことが、戦後は町の衰退を招いた。散歩道は最後に高速道路の建設現場を通る。この道が町の将来にどんな影響を与えるのか。松戸でも今年、外環道が開通する。