チューニング 2025年1月19日

 今回の映画の紹介欄には別の作品を用意していた。その作品は映画会社の原稿の確認に時間がかかるとのことで、急きょ別の作品を探すことに▼少し慌てたが、探してみると、思わぬ良作に出会った。個人的な感想を言えば、もともと用意していた作品よりもずっといい。昨年の夏にはDVDが発売されていたのに、どうしてこの作品を見落としていたのだろう▼特に意識もしていないし、不思議な偶然なのだが、上段の本の欄と、下段の映画の欄で紹介する作品は関連性があることが多い▼先月の『天国映画館』(本)と「ディア・ファミリー」(映画)は、ともに「生と死」が背景にある作品だった。今月の本と映画は、「仕事と人生」が詰まったような作品だった▼本の欄の署名はペンネームで、私の母方の祖父の名前である。祖父は裕福な農家の次男だったが、どういうわけか、丁稚奉公に出された。酒を飲むと、その頃の苦労や悔しさを思い出して、いつも涙していた。「わかば」という安いタバコを根本まで吸っていた。そういったことが禍となったのか、私が大学生の頃に亡くなった▼祖父は亡くなるまで、新聞を隅々まで読んでいた。本の欄に祖父の名前を使うのは、天国にいる祖父にも一緒に読んで欲しい、という思いがあるからだ。

あわせて読みたい