日曜日に観たい この1本
BAD LANDS バッド・ランズ

 主人公のネリ(安藤サクラ)は、通称「3塁コーチ」と呼ばれる大阪の特殊詐欺グループの「受け子」を取り仕切るコーディネーターのような仕事で生計を立てている。高城(生瀬勝久)という男が率いるこのグループは巨大ですそ野が広い。特殊詐欺の合間に、ネリは「海外出張」をして、偽装結婚の手配もしている。ネリにはジョー(山田涼介)という弟がいる。ネリはジョーを高城に引き合わせ、グループの仕事を手伝わせようとする。
 日野班長(江口のりこ)が率いる捜査班は佐竹刑事(吉原光夫)を中心に捜査を進め、組織の全貌に迫る。浮かび上がったのは組織の上層部にいる、ある権力者の影。捜査続行が危うくなる。
 ネリとジョーは不遇な幼少期を助け合って生きてきた。それだけに姉弟には常人では想像もつかないような絆がある。
 ネリは受け子の貧しい老人たちと同じアパートに住み、特に幼少期にかわいがってもらった曼荼羅(マンダラ・宇崎竜童)を気遣っている。そんなところからも、ネリは犯罪に手を染めながらも根からの悪人ではないことが分かる。そもそも、ネリは自身を執拗に着け狙うある男から身を隠すためにグループに入った。実は、曼荼羅は昔は高城の相棒として働いていたが、今はアルコールの影響でネジが切れたようになっている。
 自称サイコパスのジョーは危なっかしいところがあり、ある事件を引き起こす。それをきっかけに、姉弟の運命が大きく動き出す。
 難しい作品ではないが、登場人物が多く、展開も速いので、2回観て腑に落ちるところがあった。感じるのは、これはネリの解放の物語だということ。それは、彼女の生い立ちや不幸からの脱出。このまま彼女が幸せになれるのか、私は不安を感じつつも、ラストシーンには希望を感じた。
【戸田 照朗】
 監督・脚本・プロデュース=原田眞人/原作=黒川博行「勁草」(徳間文庫刊)/出演=安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、宇崎竜童、吉原光夫、江口のりこ、サリngROCK、天童よしみ、大場泰正、淵上泰史/2023年、日本 
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 「BAD LANDS バッド・ランズ」、ブルーレイ豪華版7480円(税込)、DVD豪華版6380円(税込)、DVD通常版4180円(税込)、5月22日発売、販売元=エイベックス・ピクチャーズ
 ©2023「BAD LANDS」製作委員会

©2023「BAD LANDS」製作委員会

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