チューニング 2024年9月22日

 空き家になっている実家に2泊3日で帰ってきた。待つ人のいない家に帰るというのは実に張り合いがない。午前中の涼しいうちに草刈りを済ませて、ひと通り掃除機をかけた▼夕飯を買うために外に出たついでに、同級生が営む喫茶店に顔を出す。彼女とは中学、高校と同じ学校で、浪人して福岡の予備校に入った時は、偶然同じ寮だった。部屋は男女で別れていたが、食堂などは共同。私は浪人してもどこも受からず、2浪でやっと東京の大学に入った。彼女は1浪で福岡の大学に進学した。私の故郷は九州の中でもかなりの田舎で、福岡は初めての都会。1分1秒が大切な、苦しくも濃密な時間だった▼彼女は大学卒業後、地元で小学校の先生をしていた。あまり話す時間もなかったが、別れ際、炎天下の草刈りを心配してくれた。ふさいだ気持ちが少し明るくなった▼家の玄関の脇にスズメバチが巣を作っていた。まだ小さいが、秋に向けて大きくなるだろう。玄関に「ハチ注意」の貼り紙をして、隣家に声をかける。隣家の主人は都会から移り住んだ皮革職人のご一家で、市内にある古民家をリフォームして引っ越す予定だ。隣家も空き家になる▼次回は寒い季節に帰ろうと思う。大きくなったハチの巣をひとり回収するつもりだ。

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