被爆者の想い胸に
中学生の平和大使が帰庁報告
「平和大使長崎派遣」の帰庁報告会が10日、市役所で行われた。同事業は21世紀を担う市内中学生を原爆投下の地である長崎市に「平和大使」として派遣するもので、戦争の悲惨さ、核兵器の恐ろしさ、平和の尊さを学び、戦争や核兵器の無い平和な未来を築こうという心を育んでもらうことを目的に実施されている。青少年ピースフォーラムに参加し、全国の同世代の人たちと平和学習などを通して、被爆の実相と平和の尊さを学ぶ。また、平和祈念式典に参列することにより、原爆犠牲者の冥福と世界の恒久平和を祈り、黙とうを捧げる。同事業は平成20年度から実施されており、今回で15回目の派遣となる。
帰庁報告会では、中学生の平和大使22人が長崎で学んだこと、感じたことを一人ずつ発表した。
第六中学校の木村花音さん(1年)は「被爆者体験講話で被爆者の松尾幸子さんのお話を聞かせていただき、想像していたことより辛い現実を知りました。被爆者は怪我や病気で体を壊されるだけではなく、根拠もない偏見や差別を受け、経済的な苦しさも抱えながら生活していたこと、松尾さんは最後に愚かな戦争はやめてください、核兵器を世界からなくしてほしいと強く訴えました。私は原爆資料館にあった背中の皮膚が赤く焼けただれた男の子の写真を思い出しました。そこには目を背けたくなるような写真や映像がたくさんありました。体験していない私が見るだけでも苦しいのに、それが現実に起こって体験した人の声は真剣に聞かなければならないと思いました。核兵器をなくすには争いを話し合いで解決しなければなりません。想像力を養い、相手の立場を理解し、思いやりを持った行動をすることが、平和への第一歩だと思いました。そして私はこの長崎で経験したことを周りの人たちにも伝えていきたい」と話した。
河原塚中学校の武井優衣さん(2年)は「長崎の被爆をされた方たちは、原爆のことを話す際に、『1回目は広島、2回目は長崎』ではなく、『最初は広島、最後は長崎』とおっしゃっていました。私は話を聞いて、本当の被爆、戦争は言葉の裏側に隠れていると思いました。平和とは、戦争とはどんなものかをみんなに伝えて、平和な世界を目指そうと再確認することができました」と話した。
新松戸南中学校の川満英琉さん(2年)は、「私はこの長崎派遣を経て1秒の大切さを認識できました。派遣2日目、平和案内人の方が爆風は秒速約440メートルで、飛行機が1秒間に進む距離の2倍進めるんだよ、とおっしゃいました。その後実際に500メートルほど歩き、歩いただけなのにたくさんの汗をかきました。しかし、爆風はこの苦労した道をたったの1秒で進みます。爆風の速さがとても速いものだと分かりました。長崎派遣という貴重な経験をできるだけ多くの人に伝え、1秒1秒を大切に過ごしていきたいです」と話した。【戸田 照朗】