チューニング 2024年8月25日

負のパワーというのは強い。私も怒りが何か月も尾を引くことがある▼10年くらい前に高校の同窓会があった。A君は会場に入ってすぐ席を立ち、そのまま戻らなかった。後で聞いた話だと、A君の隣席に仲の悪いB君がいたらしい。幹事がうっかり隣席にしてしまったのだ。二人の間に何があったのかは知らないが、30年以上たってもA君の怒りはおさまらなかった▼怒りの感情は何度も心の中で反芻(はんすう)され、その力を持続し続ける。戦争をしているウクライナとロシア、パレスチナとイスラエルの国民の怒りは半永久的に消えない可能性がある。これは私たち日本人にとっても他人事ではない。やった方は忘れがちだが、やられた方は永遠に忘れない▼「怒り」と似た感情に「悔しさ」があるが、こちらは使いようによっては生きる力になることがある。私の場合は大学受験がそうだった。悔しい思いがなかったら、あんなに勉強しなかったと思う▼スポーツ選手の場合も、悔しさを知っている人の方が勝利への執念が強いように思う。今回のパリ五輪でも、メダルラッシュの陰で思うような成績が収められず、悔しい思いを胸にしまって帰国した選手たちもいると思う。悔しさをバネに、次回は涙を笑顔に変えて欲しい。

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