チューニング 2024年2月25日
「宗教は人を幸せにするのだろうか。ないほうが、人は平和に生きられるのではないか」。小学生のころから、こんなことを考えていた。中東戦争が続いていたことが影響していると思う▼イスラエル人の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが書いた『サピエンス全史』を読んで、子どものころからの疑問に(ある意味絶望的な)答えが出た▼私たちホモ・サピエンスよりも脳が大きく腕力も強い、いわばスーパーマンのようなネアンデルタール人が滅び、なぜ私たちサピエンスが生き残ったのか▼ネアンデルタール人は能力の高さゆえ、家族単位で生活することができた。ところが家族単位だと技術の伝承が家族の中だけにとどまってしまう。一方、非力な私たちは、家族以外の人たちと集団を作って生活した。集団の中では、誰かが思いついたアイデアや技術は集団内で共有され、たとえ血族が絶えても、進歩を続けることができる。集団はやがてムラとなり、その一番大きなものはクニとなった▼集団の結束を高めるために有効だったのが、宗教だ。文明を築くために宗教は不可欠だった。一方で、同じものを信じる集団は、排他的になりがちだ▼日本でも戦争遂行に国家神道が機能した。戦争と宗教にはやはり宿命的な関係があるようだ。