松戸市立博物館で開館30周年・千葉県誕生150周年・松戸市制施行80周年・記念企画展
「あの日の〝まつど〟 ―写真でふりかえる150年―」開催
9月23日~11月12日 入場無料

 千葉県誕生150周年・市制施行80周年・開館30周年記念企画展「あの日の〝まつど〟―写真でふりかえる150年―」が9月23日から11月12日まで松戸市立博物館企画展示室で開催される。入場無料。同展では、千葉県誕生150周年・松戸市制施行80周年の節目にあたって、数多くの写真を中心に、市内に伝わる貴重な資料もまじえ、松戸市域の明治時代以降をふりかえる。写真に記録された風景からは、〝まつど〟という一地域に限定されない普遍的な近・現代の時代像も伝わってくる。同館では「皆さんがそれぞれのふるさとへ思いを馳せるとともに、多様化する現代社会を見つめ直すきっかけとなれば幸いです」としている。
 同展は全2部構成。広報課旧蔵写真以前(明治~昭和戦中期)と以後(1950年からおもに70年代まで)に分けて展示される。
 第1部〝まつど〟のあゆみ
 明治・大正・昭和への誘い
 東葛飾郡の中心地となった松戸の町並みや農村の暮らしを伝える写真を中心に、第1部のガイドラインとして明治~昭和戦中期における市域の移り変わりを辿る。
 【千葉県の成立と郡都 松戸町】葛飾県・小菅県→印旛県→千葉県に至る行政機構の変遷とそれに伴う地域の変化を文書資料から紹介する。また、1878(明治11)年の郡区町村編成法により東葛飾郡役所が設置された松戸町の公的施設、病院、同町の特徴である競馬場などを写真で紹介する。
 【〝まつど〟の原風景】1889(明治22)年の町村制により松戸町・明村・八柱村・馬橋村・高木村・小金町が成立する。さまざまな時点・地点で撮影された市域各地の写真を展示することで、農地が広がる明治後期~昭和戦前の〝まつど〟の原風景に迫る。
 交通の発展と商工業
 戦前期までの交通網の発達と市域の産業を紹介し、ヒト・モノの移動の活発化がもたらした地域の変化を考える。
 【行き交う人びと】鉄道・人力車・車など新たな乗り物の登場とそれに伴う線路・橋梁・道路の新設・整備を示す写真を展示。
 【松戸町にみる近代の商工業】松戸町を中心として、明治~昭和戦中期における市域諸産業の展開を紹介する。写真資料に加えて地図資料(観光案内など)・絵画資料を展示することで、市域の人びとの営みをみる。
 川と生きる 
 身近な江戸川・坂川を見つめ直すきっかけとして、川の恵みと脅威に向き合った近代の人びとの姿を紹介する。
 【江戸川の近代】新たな統治体制や各種交通網の発達という近代化の波に対応していった河岸の人びとに迫る。
 【坂川普通水利組合の活動】新松戸郷土資料館旧蔵写真を中心に、組合結成の経緯や柳原水閘・樋野口排水機の建設工事風景を紹介すると同時に、町村を超えた地域のまとまりの例としても坂川普通水利組合に注目する。
 学び舎からみる〝まつど〟
 学校という視点から、殖産興業・富国強兵を目指す国家の姿を見出すとともに、現在の教育を顧みる素材として近代における地域と小学校のつながりを紹介する。
 【地域のなかの学校】明治期創立の中部・高木・小金小学校を対象として、写真資料と沿革誌・日誌、旧家文書に残った学校経営資料などを展示することで、明治~昭和戦中期における生徒の学校生活と学校を支える地域の人びとを紹介する。あわせて、学校という視点から関東大震災や第二次世界大戦が地域に与えた影響を見つめ直す。
 【陸軍工兵学校】松戸を代表する学校として案内記などで取り上げられた、1909(明治42)年開校の県立園芸専門学校と1919(大正8)年開校の陸軍工兵学校のうち、今回は後者を紹介する。市民の方から寄贈・借用を受けた資料とともに振り返る。
 戦時下の松戸「市」誕生
 市に残された公文書の展示を中心として、松戸市の出発点である1943(昭和18)年の市制施行を振り返る。同時に、市制施行の背景にある戦時下という時代状況を写真資料や実物資料を通じて紹介する。
 【戦時下を生きた人びと】1940(昭和15)年の松戸飛行場や警防団をはじめとする「銃後組織」の活動など、太平洋戦争下の市域の人びとの暮らしを写真と寄贈資料からふりかえる。
 【市制施行へ】昭和18年4月1日の市制施行にいたる松戸・馬橋・高木各町村の動きと当時の社会状況を、関係する公文書から振り返る。町村役場の人びとの写真とあわせて、彼らが市制施行にかけた期待を見出す。
 第2部『広報まつど』に見る〝まつど〟
 【小さな地名とMy Old School】地域の結節点である学校(公立中学校21、私立中学校2)を、四半世紀前の大字・小字図上に示し、地名・位置関係を示唆することで地域理解の下地とする。
 【民主主義の模索】民主主義が根付いてゆく終戦後4年余りの過渡期の状況を、『広報まつど』の記事と写真から紹介。
 【病気とのたたかい】現代人と比べて栄養不足で衛生環境も整っていなかった1940~60年代。夏と冬はえき病に備える季節だった。
 【開発】区画整理と農地改良、基盤整備、住宅都市化など、とくに景観の変貌を国の動向も踏まえながら眺める。
 【〝まつど〟点描】現代の私たちが当然のように使っている生活の基盤が整備されていった1950~70年代を中心に、市域のようすや市民の暮らしを紹介する。
 学芸員講演会
 同展第1部を担当した林幸太郎学芸員が10月29日午後1時から3時まで、「写真と文書でふりかえる〝まつど〟―松戸町・坂川普通水利組合・陸軍工兵学校―」と題して講演する(松戸市立博物館友の会共催)。
 9時30分から17時開館。月曜定休(休日の場合は開館し、翌日休館)。☎047・384・8181。※写真提供=松戸市立博物館【戸田 照朗】

常磐線鉄橋と川船(明治末期)

 

葛飾橋の渡り初め(1927年)

陸軍工兵学校正門前の行進(昭和戦前)

松戸駅近く、善照寺前の旧水戸街道(1955年)

常盤平団地駅前で(1961年)

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