チューニング 2023年7月23日
私が生まれて初めて自分の意志で観たいと思った映画は「猿の惑星」だ▼九州の山奥の小さな町にもまだ映画館があった時代。街角のポスターを見て、祖父に連れて行ってもらった。公開は1968年。私は3歳。田舎町の映画館だから、少し遅れて来て、4~5歳だったかもしれない。字幕が読めないので、内容はあやふやだったが、映像には見入った▼ちゃんと理解したのは、町から映画館がなくなり、テレビの洋画劇場で吹き替え版を観た小学生の頃だと思う。チャールトン・ヘストン演じるテイラー船長ら4人の宇宙飛行士の乗った宇宙船が、ある惑星に不時着する。この惑星では、人間と猿の立場が逆転しており、猿が言葉をしゃべり、文明を築いていて、人間は言語を持たず、野生動物として扱われていた▼光速に近いスピードで進む宇宙船の時間は、地球よりもずっと遅く進むという点がミソで、本格的なSF映画だと感動していた▼しかし、大人になるとつまらないことに気がつくもので、立場は違えども人間と猿がいて、猿は銃を持っている。遥か彼方にある惑星の生物が地球の生物と同じというのは考えにくい。しかも、同じ道具を使っている▼あの有名なラストシーンを迎えずとも、惑星の正体に気がつかないだろうか。