チューニング 2022年10月23日
少年のころ、宗教は人類にとって無いほうが良いのでは、と思っていた。「天国も、地獄も、国も、宗教も無いと想像してごらん。みんなが平和に暮らしている」と歌うジョン・レノンの「イマジン」に共感した▼イランで風紀警察に髪の露出を注意され拘束された女性が死亡し、世界中で女性の自由を訴える運動が広がっていることや、終わらない旧統一教会による被害と政治家との癒着を見るにつけ、今でもモヤモヤする▼「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)に面白い記述があった▼ネアンデルタール人は、知力体力ともに私たちサピエンスより優れ、それゆえに家族単位で生活することができたが、私たちの祖先は、非力ゆえに集団を作って生活した。ネアンデルタール人の石器などの道具は初期からほとんど変わらなかったが、サピエンスの道具は時を追うごとに洗練されていった▼家族単位では知識や技術が継承されにくい。集団の中では共有され次世代に引き継がれていく▼集団を作る上で大きな役割を果たしたのが宗教だった。同じものを信じる人たちの結束は強い。結果、ネアンデルタール人は滅び、私たちは生き延びて文明を築いた▼人類から宗教を切り離すことはできないのかもしれないと気がついて、がく然とした。