チューニング 2021年12月19日

 スポーツ選手の活躍はいつ終わるともわからないコロナ禍の中で一筋の光明のように感じられた▼松戸の選手はもとより、米大リーグでMⅤPに輝いた大谷翔平選手などは好例だろう。会ったこともない選手の活躍を多くの人が素直に祝福できる。こんなことって、人間の活動の中でほかにあるだろうか▼しかし、東京五輪は感染が今までになく拡大している中での開催で、複雑な思いがぬぐえなかった。自国開催にもかかわらず、ほとんど中継を見なかった▼政治が関与しすぎる。今も来年の北京五輪をめぐって「外交的ボイコット」が取りざたされている。今年20年ぶりにアフガニスタンから米軍が撤退してタリバンが再び政権を掌握したが、私が中学生だった1979年のクリスマス・イブにはソ連軍が侵攻して、翌年のモスクワ五輪を西側諸国がボイコットした。4年後のロス五輪はその腹いせに東側諸国がボイコット。いつも泣くのは選手だ▼ナチス・ドイツのベルリン五輪以来、五輪は国威高揚の場として利用されてきた。コラムニストの小田嶋隆さんが言っているように、毎回発祥の地アテネで開催することにしたらどうだろう。参加国が参加費を払って開催すれば、開催国の負担は少なくて済むし、政治利用もできなくなるだろう。

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