チューニング 2021年11月28日
渋沢栄一を主人公にした今年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」も大詰め▼私は年末などにオンデマンドで1年分をまとめて観たりすることが多いが、今回は戸定邸の主・徳川昭武が登場するため、原稿を書く必要があり、夏頃に半年分をまとめて観た。渋沢についての本も読んだ▼1998年の大河ドラマ「徳川慶喜」が放送された時も戸定邸が注目された。実はこの時は最後まで観なかった。当時はオンデマンドがなかったというのもあるが、そもそも慶喜という人にあまり好印象を抱いていなかった。戊辰戦争の鳥羽・伏見の戦いの折に、味方の幕府軍を見捨てて、船で江戸に帰ってしまったという一事が引っかかっていた。本を読むと、ヨーロッパで一報を聞いた渋沢も、この点には引っかかりがあったようだ▼ただ、ドラマで描かれているように渋沢は慶喜のことを心から敬愛しており、晩年には慶喜の正確な伝記を編纂するために心血を注いでいる▼近代日本の礎となる企業500社の創設にかかわり、社会福祉活動にも尽力。私心がなく、財閥もつくらなかった。これほどの人物が敬愛したのだから、慶喜には相当の魅力があったのだと思う。戊辰戦争でなぜ慶喜はあんな行動をとったのか。渋沢はその答えにたどり着いただろうか。