チューニング 2021年9月26日

 進歩、発展、改善…。どの言葉を使うのが適切なのか分からないが、世の中は少しずつ良い方向に進んでいるように感じる▼1面に書いたように、まだ不十分とはいえ、動物をめぐる環境はかなり改善されている。私が生まれたころは毎年120万頭もの犬猫が殺処分されていた。それが今は約3万頭だ。少ないとは決して言えないが▼私の親世代は、子犬・子猫が生まれると山に捨てたり、川に流したり、ということが当たり前だった。若い人には信じられないだろう▼LGBTQという言葉もよく耳にする。同性婚や夫婦別姓を認めるかどうかという議論も行われている。こういう話が平場の議論に乗るようになっただけでも進歩だと思う▼セクハラやパワハラ自体は昔からあったし、元から悪いことなのだが、この言葉が生まれて初めて、いけないことだと認識された▼世の中の価値観が改まるにつれ、取り残された古い体質が悪目立ちしている▼名古屋入国管理局の施設でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが虐待と言ってもいい状態で死亡した。入管の人権無視の体質は、これが本当に今の日本なのか、と信じられない思いだ▼五輪開催の時期とも重なり、日本人の「おもてなし」って、上っ面だけなのか、と皮肉りたくもなる。

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