チューニング 2021年6月27日
東京五輪の開催はいつ決定したのだろう▼選択肢には
「中止」「再延期」「無観客」「観客数制限」などがあったはずだ。それが、いつの間にか開催を前提に無観客か人数制限かという話になり、政府分科会の尾身会長らの「無観客が望ましい」という提言も無視して、上限1万人、開会式は関係者別枠で2万人以上になるとか▼この国はいつから話し合わない国になったのだろう。反対意見を聞くのは面倒だし、時間がかかるが、民主主義の基本だ。前の安倍政権からそうだが、菅首相も野党の質問に真正面から答えない▼党首討論で、前の東京五輪の思い出話をしたことが(批判も含めて)話題となった。当時高校生だった菅少年は女子バレーの「東洋の魔女」などに強い印象を受けたという。昭和30年代の日本はまだ敗戦によるコンプレックスを引きずっていて、それだけに日本選手の活躍に熱狂したのだろう▼しかし、今は違う。大リーグの大谷選手は最多勝と本塁打王を同時に取るような選手になるかもしれない。多くのサッカー選手が海外で活躍し、W杯に出るのが当たり前になった。テニスでもゴルフでも世界のメジャー大会を制する選手が出ている▼今の若い人たちにとって五輪は、菅首相が期待するほど特別ではない気がする。