チューニング 2020年8月23日
映画紹介欄で紹介する作品を探すために観たDVDの中に「1917 命をかけた伝令」という作品があった▼第一次世界大戦の西部戦線でイギリス陸軍の伝令兵2人が無人地帯を抜けて明朝の作戦中止を伝えに行く。敵の後退は戦略的なもので、もし攻撃すれば1600人の大隊に壊滅的な被害が出る。その中には主人公の兄もいた▼明朝までの1日をワンカットに見える映像でつないでいることが話題になった。臨場感があり、スクリーンを通して死臭が漂ってくるようだ▼当時はある意味牧歌的というか、戦争を冒険物語のように感じた若者の志願も多かったという。しかし、待ち受けていたのは悲惨な現実だった▼西部戦線には長い塹壕(ざんごう)が掘られており、敵味方ともこの中に身を隠しながら戦う。少しでも頭を出せば撃たれる。衛生状態が悪く塹壕の中では病気も蔓延した。戦闘機や戦車などの近代兵器が投入されたのもこの戦争からで、大量殺戮(りく)が可能になった。まだPTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉がなかった時代だが、心と体に異常をきたす兵士が続出したという▼一度目がこんなに悲惨なのに、よく懲(こ)りずに二度目の大戦も起こしたものだと思う。国ってなんだろう。命よりも大切ですか。