全自動PCR検査装置を開発
世界でも注目の市内企業を市長が表敬
新型コロナウイルス感染症対策で一躍注目を集めているPCR検査。その検査を全自動で行う装置を開発・製造している市内上本郷のプレシジョン・システム・サイエンス㈱(田島秀二代表取締役)を25日、本郷谷健次市長が表敬訪問した。【竹中 景太】
日本のPCR検査における主な課題は3つあるという。
1つ目はマニュアルでの作業工程が多く、判定に時間がかかることだが、全自動化により、煩雑な工程を簡略化し、検査時間の短縮化が可能になった。2つ目は、専門性、技能を有する検査技師不足により、機器はあっても、PCR検査数が圧倒的に少ないこと。また、検査技師の技量への依存が大きく、検査結果が安定しないという課題があった。これも全自動化により、だれでも簡単に操作でき、安定した検査結果を実現した。3つ目として、人の関与が大きく、感染リスク、人的ミスによる検体のコンタミ(汚染)リスクが高かった。これも全自動化により、全工程がクローズされた装置内で作業が完了し、リスクを限定できるようになったという。
同社は、世界50か国で500台以上の販売実績があり、フランスでは医療現場での活用が認められ、今年4月、在日フランス大使から感謝状が贈呈されている。国内でも同装置の販売準備を進めているという。
表敬訪問では、実際にフランスはじめヨーロッパで活躍している同社製の全自動PCR検査装置を前に、田島社長から本郷谷市長に装置の特徴や作業工程の説明などが行われた。
本郷谷市長が「地元松戸の企業が世界的に活躍されていることは誇りだ。コロナは今一番の関心事で、日本でも第2波、第3波が来る可能性がある。全力でがんばってもらいたいし、市としてできる限りの支援、応援をしていきたい」と話すと、田島社長は「元々が臓器移植の際に使う装置として開発をスタートしたもの。大学や高度な研究機関にも評価いただいており、協力していろんな工夫をしていけば検査時間の更なる短縮化も可能だ。国内でも認可の申請をしており、感染症対策に役立ててもらえれば」と応えていた。
同社は1985年7月設立。91年に松戸市に研究所を設立し、01年には都内にあった本社と研究所を松戸市に集約。遺伝子検査、たんぱく質検査などの体外診断における研究開発や、その実用化で用いられる自動化装置その他理化学機器、ソフトウェアなどの開発および製造販売、自動化装置に使用される試薬およびプラスチック消耗品の製造販売などを行っている。