松戸この1年を振り返る
記者が見た聞いた2019年
今年はどんな年だったのか。2019年を振り返ります。【戸田 照朗】
4月16日に松戸市立第一中学校みらい分校(市立夜間中学)の開校式と入学式が行われた。校舎は廃校になった市立古ヶ崎南小学校。国籍や年齢も違う22人が入学した。
記者は1995年7月から弊紙の編集に携わっているが、3年後の98年に松戸自主夜間中学が「読売教育賞」を受賞したことがきっかけとなり、20年近く取材を続けてきた。市教委にも何度か話を聞いたが、非常に頑なで松戸市に夜間中学の設立が実現する可能性は低いという感触を得ていた。
それが一転したのが2016年12月に教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)が成立したこと。不登校などの問題が解決しない中、国も夜間中学などのセイフティーネットの必要性を認め、全国の自治体に設置を促している。松戸市の重い腰もやっと上がる結果となった。
そんな中、1983年に「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」を設立し、同会の代表として松戸市に夜間中学をつくることを訴え続けてきた藤田恭平さんが亡くなられた。92歳。市立夜間中学設立を目前にした3月12日の逝去だった。葬儀では目を赤くした元生徒や、長年自主夜間中学の運営を支えてきたスタッフの姿が見られた。
昨年の3月21日に伊勢丹松戸店が閉店し、松戸市はランドマーク的商業施設を失った。今年は4月に伊勢丹の入っていたビルにキテミテマツドが一部オープンし、北部市場跡地には、10月にテラスモール松戸がオープン。明るいニュースとなった。
9月に15号、10月に19号、21号と立て続けに台風の被害が千葉県を襲った。幸い松戸市を含む東葛地域の被害は他地域に比べれば軽かったが、テラスモール松戸がオープンした10月25日は21号が大雨を降らせており、嵐の中での門出となった。
6月に東京オリンピックの聖火ランナーの県内ルートが発表され、松戸市は県内ルート3日間のうちの最終日、来年7月4日にセレブレーション(各日の最終走者の到着時に行う、聖火の到着を祝うセレモニー)の地として選ばれた。セレブレーションは松戸中央公園を予定している。詳細なルートについては情報解禁が12月17日となっており、次号で紹介できると思う。
9月には市内在住の皆川博恵さんが女子レスリング76キロ級で東京オリンピックの日本代表に内定した。
2018年にプロ野球・福岡ソフトバンクホークスに入団した高橋礼投手がパ・リーグの新人王を獲得した。
高橋投手は八ヶ崎第二小学校時代にジュニアソフトの経験もあり、専修大学松戸高校から専修大学に進学した。入団前に市長室でお会いしたが、笑顔が印象的な好青年だった。記者はホークスのファンで、球場(東京ドームや西武球場)にも何度か出かけたが、高橋投手の投球を見ることはできなかった。
シーズン前半は、3連戦の初戦をエースの千賀滉大投手が投げ、2戦目を高橋投手が投げて、勝ち越しを狙うというローテーション。後半になると、千賀投手とは別カードの初戦に先発することが多くなった。勝ち星を計算できる投手として1年を通して活躍し、12勝を挙げた。
投球のテンポが速く、試合時間が2時間代と短く終わることが多い。野手もテンポの良いピッチングで守りが早く終わるためか、よく打ち、高橋投手の先発試合は早めに得点することが多かった。
187センチの長身から地面すれすれに投げ下ろすアンダースローは日本球界でも珍しく、プレミア12での侍ジャパンの初優勝にも貢献した。来年のオリンピックでの活躍も期待できるだろう。