全国ねぎサミット2019㏌まつど
11月23・24日、21世紀の森と広場で千葉県初開催
「全国ねぎサミット2019inまつど」が11月23日と24日の午前9時30分から午後3時30分まで21世紀の森と広場及び森のホール21で開催される。千葉県では初開催。2017年の農林水産省の統計によると、千葉県はねぎの生産量が全国1位(6万トン)。2位が埼玉県(5万7900トン)となっている。
全国ねぎサミットは、「ねぎ」の魅力を全国に発信するため、各産地の生産者及び関係者を一堂に会し、平成22年の埼玉県深谷市での第1回開催を機に、毎年各地で開催されている。2回目も深谷市で開催。以降、岐阜県岐南町、茨城県坂東市、群馬県下仁田町、山形県酒田市、東京都大井競馬場、秋田県能代市、新潟県新潟市で開催された。
松戸市は、第1回大会から続けて参加し、松戸のブランドねぎの魅力を発信。今回は「矢切ねぎ」、「あじさいねぎ」に加え、「松戸ねぎ」を新たに出品し、「松戸のブランドねぎ」を積極的にPRする。
23自治体が参加予定。ステージ上で、各ねぎ産地が特産ねぎの魅力をPR。松戸市の「みのりちゃん」や深谷市の「ふっかちゃん」をはじめ参加各地で大活躍しているゆるキャラがステージ上に大集合するほか、ご当地アイドルの「Negicco」がライブパフォーマンスを行う。また、各産地のねぎの販売なども行われる。
第12回まつど大農業まつり(とうかつ中央農業協同組合主催)と「まつどパンまつり2019」(松戸商工会議所青年部主催)が同時開催される。
また、開催に先立ち、農商工連携の取り組みとして、山崎製パン㈱と「矢切ねぎ」とのコラボ商品として、12月31日まで「ランチパック ねぎ塩豚(千葉県産矢切ねぎ)」が販売されている。
矢切ねぎ
松戸を代表するブランドねぎ。「矢切ねぎ」は平成19年に商標登録を受けている。葱の栽培にとって適しているのは、水分が多く、肥沃な利根川水系の洪積地だという。矢切耕地も葱栽培が盛んになる前は水田だった。埼玉県の深谷や以前は一大産地だった金町も利根川水系にある。
昔から矢切の農家は個人で出荷しているところがほとんどで、一致した規格があるわけではなく、矢切の農家がつくった葱を「矢切ねぎ」としている。白い部分が長く太い根深葱が「矢切ねぎ」のイメージだが、最も太いものは料亭などで使われる。
矢切葱のルーツは江戸の砂村(現在の江東区北砂、南砂、新砂、東砂あたり)にあるという。江戸に伝わった葱は葉葱(西日本でよく食べられている柔らかく細い葉の部分を主に食べる葱)だったようだが、関西地方よりも寒い江戸では、秋から春先に収穫する葱(冬葱)は霜枯れになってしまった。ところが、土の中の白い部分がおいしいということが分かり、食べられるようになった。農民は白い部分を長くするために、30センチほどの溝を掘って苗を植え、成長に合わせて土を盛り寄せてゆくという葱(根深葱)を生み出した。
江戸時代の終わりか明治初年ごろに矢切に砂村ねぎが伝わり、下矢切のいくつかの有力農家で栽培技術が進み、明治40年代になると農産物の品評会で入賞するようになり、矢切葱が高級品種として認められるようになっていった。
種については依然として砂村から購入していたが、大正6年(1917)に下矢切の12戸の農家が千葉高等園芸学校(現在の千葉大学園芸学部)の教授で千葉農事試験場の技師だった大島亨氏の指導のもとに「下矢切葱採種出荷組合」を組織。砂村から原種を購入し、各品種を試験栽培し、冬葱として合い柄種(矢切葱)を採種することができたという。昭和初期には全国にその種子が分布するようになった。
昭和20年代後半から30年代にかけて、いくつかの農家が品評会で高い評価を受け、「矢切葱」が高級ねぎのブランドとして確立していった。
昭和37年に一代交配の種子で、品質の揃った育てやすい種子「金長葱」が品種登録され、全国的に販売されるようになると、「矢切葱」の種は売れなくなっていった。その後、矢切の農家でも毎年種苗業者から種を購入して葱を栽培するようになっていった。
※参考文献=『やきりの話 附やきりねぎの話』(石原修)
あじさいねぎ
松戸市北部(小金地区)で栽培される葉葱。江戸時代後期に柴又周辺から伝わり、昭和50年代に本格的に生産されるようになった。都市化で耕作面積が減り、労働力も不足する中、葉葱は利益率が良く、軽いため、女性にも皮をむく作業が容易だった。博多万能ねぎなどを視察、研究したという。平成16年には「あじさいねぎ」で商標登録を受けている。
「あじさいねぎ」という名称は、あじさい寺として有名な本土寺に由来している。
味がよく、彩りが鮮やか。シャキシャキとした小気味良い食感、やわらかさ、深い香りと辛味が特徴。栄養面では免疫力を高めるカロテンが豊富。薬味のほか、お好み焼きなど油料理にもよく合う。
春葱、夏葱、冬葱と周年で収穫できる。冬葱は特に甘く、出荷量も多い。
松戸ねぎ
明治時代から松戸市全域の農家で葱は盛んに作られてきた。五香・六実の葱は矢切ねぎと同じ根深葱だが、中太。矢切が冬葱なのに対して、4月から7月の夏葱が最盛期というのが特徴だ。「松戸ねぎ」は30年くらい前に、南部市場に出荷していたころに使っていた名称だが、北部市場に出荷するようになってからは使われなくなっていたという。「全国ねぎサミット」が松戸で開催されるのを機に、この「松戸ねぎ」の名称を復活させようという取り組みだ。都市化による耕作地の減少や後継者の問題などで、 辞める農家も増えている。「松戸ねぎ」の復活で、松戸の葱農家が少しでも元気になってくれたら、という思いがある。【戸田 照朗】