日曜日に観たい この1本
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全編がパソコンの画面上で展開されるという異色の作品。見る前は、躍動感のない展開になるのでは? と危惧したのだが、意外にもハラハラドキドキの、最後には感動が待っているという、かなりよくできたサスペンスだった。SNSだけではなく、動画のライブ配信、テレビ電話など、今はパソコンの画面上で何でもできるのだなと、改めて感心した。
デビッドの家族は韓国系アメリカ人。病気で妻を亡くし、16歳の娘マーゴットと二人暮らし。その娘が友達の家で勉強してくると言ったっきり、失踪してしまう。警察も動き出し、デビッドはマーゴットが置いて行ったパソコンを使って手掛かりを探すことに。通常であれば、年頃の娘のプライバシーが詰まったパソコンを見ることはご法度だと思うが、非常事態の今はそんなことも言ってられない。パスワード変更を申し出て、インスタグラム、フェイスブック、ツイッターなどのSNSにアクセスしてゆく。
そこで分かったのは、自分が知らなかった娘の日常。前半から事態の深刻さが徐々に増して、嫌な予感が募り、事件が動き出す中盤からラストまでは怒涛(どとう)の展開となる。
2回観たが、2回目で前半にもけっこう伏線が張られていたことに気が付いた。
監督は現在27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティ。23歳の時にユーチューブで配信した2分半の短編映画が評判を呼んで、グーグルに招かれてCMを制作するようになった。本作は劇場用映画デビュー作になるという。監督の経験とアイデアがいかんなく発揮された作品なのだと思う。
また、主人公が韓国系アメリカ人というアメリカではマイノリティを主役に起用した作品という点でもかなり珍しい。
【戸田 照朗】
監督=アニーシュ・チャガンティ/出演=ジョン・チョー、ミシェル・ラー、ジョセフ・リー、デブラ・メッシング/2018年、アメリカ
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「search/サーチ」、ブルーレイ&DVDセット税別4743円、発売中、発売・販売元=ソニー・ピクチャーズエンタテインメント