松戸周辺の城跡を訪ねて⑮
国道16号線沿いに点在する野田市内の城跡を紹介する。
【戸田 照朗】
野田市 金野井城
国道16号線が江戸川を渡る金野井大橋の近く。江戸川の東、野田市東金野井浄水場の敷地と隣接する真言宗西福寺の境内にわたって城跡がある。
全体がほぼ長方形の形をしており、3つの郭で構成されている。浄水場がⅠ郭とⅡ郭、西福寺がⅢ郭にあたる。Ⅱ郭(浄水場)とⅢ郭(西福寺)は直線道路で仕切られている。
浄水場の門のわきに「金野井城址」の標柱がある。
標柱の文字は薄くなり読むのに一苦労するが、「金野井城址とされているところは堀の内の地名になっており、これは豪族の屋敷内を意味するもので、西福寺には現在も外濠と思われる溝が存在しています。この城は野本将監なるものによって鎌倉時代に築かれたとされており野本将監の逸話が残されています」と側面に書かれている。
お寺の方にお断りして、境内の周囲に広がる雑木林の中をのぞかせていただいた。
本堂の裏あたりの雑木林の中には土塁のように土が盛り上がった土手が続いている。その向こうは溝になっているようだ。これが標柱にあった外濠だろうか。
境内の外側をめぐると稲荷神社があった。稲荷神社と西福寺境内の間の雑木林の中にも土塁らしき盛り上がりがあった。
※参考文献=「東葛の中世城郭」(千野原靖方著・崙書房出版)