チューニング 2018年8月26日

 

 

 

 もう30年以上前。福岡の予備校で浪人生活を送っていたころのこと▼医学部を目指してもう何年も浪人している男性がいた。また、明らかに私たちよりも年上の女性が医学部を受験するために、学年の途中から入ってきた。他の仕事に就いていたが、どうしても医者になりたくて…。そんな雰囲気だった。まだ紅顔の受験生たちと席を並べ、ガサツな私たちに少々うんざりしているようでもあった▼私たち一般の受験生とは違って、目的がはっきりしている。理由は分からないが、何年かかっても医者になりたいのだろう。普通に就職するのとは違い、資格を取るのだから、それでもいいと思っていた。学校の成績が良いからというだけで医学部を目指す受験生よりも、よほど良い医者になるだろう▼東京医科大の不正入試のニュースを聞いて、彼らの姿が思い出された。女子と男子多浪生は一次試験で一律に減点されていた。当落線上の1点に何人もの受験生がぶらさがるという厳しい世界で、何割も減点されたのではたまらない。二次の面接は医師としての適性や意欲を見るためではなく、不都合な人間をふるい落とすために使われていた▼医学界の内向きな理由は知らない。女性差別、年齢差別は言語道断。何年遅れているんだ、この国は。

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