県立松戸高校演劇部 全国大会で優秀賞 国立劇場の舞台に
県立松戸高校演劇部が7日から9日まで長野県上田市のサントミューゼ上田市交流文化芸術センター大ホールで開催された第64回全国高等学校演劇大会・第42回全国高等学校総合文化祭演劇部門に関東ブロック代表として出場し、優秀賞を受賞した。最優秀賞は香川県立丸亀高校。優秀賞は県立松戸のほかに宮城県仙台三桜高校、長野県松本美須々ヶ丘高校が受賞。4校は昨日からきょうまで国立劇場で行われている第29回優秀校東京公演に出演。県立松戸は昨日出演した。大会の様子や各校の舞台についてはNHKのEテレで9月5日、6日、9日に紹介される予定。ただし、舞台のノーカット放送は最優秀校(丸亀高校)のみになるという。【戸田 照朗】
同校が上演したのは「Time After Time~インディアンサマーより~」。演劇部顧問の阿部順教諭が書いたオリジナル作品で、不登校の生徒を何とか学校に来させようと奮闘する友人の姿や友情、二人を取り巻く生徒たち、そして二人の25年後を描いている。
全国大会に出場した12校のうち、上位4校にのみ与えられる国立劇場での舞台出演は、同校にとって大きな目標だった。上演前に同校で話をうかがった。
部長で、親の事情で高校を辞めた原田和美を演じた外尾風音(ほかおかざね)さん(3年)は、「国立劇場でできるのが4校までだったので、(全国大会で)名前を呼ばれて、涙が出た。そんなに大きなミスもなく、自分たちとしては納得できる劇だった。長野に行ってから、何人かが体調を壊したが、当日は全員で出来て良かった。劇の演出の一部が当日の朝に変わった。新しい演出をあまり練習できないまま本番だったので、不安があったが、出来としては今までで一番新鮮にできた。国立劇場は、今まで3年間やってきて、本当に最後の舞台になるので、私たちの今までの全てを出せるように、悔いが残らないように全員でやり遂げたいと思います。自分の力だけではなく、みんながいたからここまで来れた。この仲間でやってこれて良かったと思います」。
主役の不登校になってしまった桑原夕子を演じた栗原七海(くりはらななみ)さん(同)は、「もしかしたら最優秀いけるんじゃないかと思っていたところがあって、初めてこの作品で最優秀賞が取れなかった(ブロック大会、県大会、関東大会は、いずれも最優秀賞)。初めてこの劇で悔しいという思いをしたけど、それはいい意味でそういう気持ちになったのかなと今では思う。この劇で悔しいという思いをしたことがなかったので、今までの結果のありがたみが分かるような気がしました。結果的に私たちの目標としていた国立劇場でやることができて、できるだけ長く演劇部として劇をやることができることはすごくうれしいことだと思います。最後なので、悔いを残さないように、今までのありがたみをかみしめて、やりたいと思います。演劇部はいろんなことが厳しい部活で、例えば制服を着くずせなかったり、それが最初すごく嫌だった。それでも私は演劇部でいなきゃダメだという気持ちで続けていました。それが自分の成長に繋がったんじゃないかと今になって思います」。
夕子を学校に戻そうとする友人・高村朝香を演じた髙橋菜々香(たかはしななか)さん(同)は、「がんばった結果が、賞として出てくれたのがうれしいです。本番直前まで、泣いたりして緊張してたんですけど、始まっちゃえば、こっちのものだった。自分の精一杯の朝香を演じられたかなと思います。国立劇場では、全国大会よりも、さらに自分の朝香を演じられたらなと思います。(演劇部として最後の舞台になるので)ちょっと寂しい気持ちもありますが、授業でまたみんなと演劇ができるので、あまり寂しくはないかなとも思います」。
顧問の阿部教諭は「全国大会当日は万全だった。ここまで出来るんだと、誇らしく思いました。関東大会から半年間、心も体も人間的にいかに成長したか、ということが出たのだと思う。国立劇場は、集大成としてやりたい。どんなにがんばっても結果がついてこないことが演劇の場合は多い。今年の学年は、順当に次の公演に行けるということを繰り返してきたので、幸せな学年なんじゃないかと思います。国立の舞台を踏むということは、お披露目というよりは、なぜ自分たちが優秀賞に選ばれたのかということを示さなくてはいけない公演。こんなので国立に出るのか、と思われてはダメ。その意味で、それ(実力)を示すためにやる、という感じになります」。