松戸駅前再開発、まちづくり、子育て支援など 本郷谷健次市長に聞く

 

インタビューに答える本郷谷健次市長

 任期満了に伴う松戸市長選挙が10日行われ、無所属で現職の本郷谷健次氏(69)が、前県議で無所属の川井友則氏(42)、共産党地区委員会職員で同党公認のミール計恵氏(48)、元飲食店従業員で「NHKから国民を守る党」公認の中村典子氏(40)の新人3氏を破り、当選した。3選を果たした本郷谷市長に、今回の選挙戦、これからの松戸市の展望、まちづくりなどについて聞いた。【戸田照朗・竹中景太】

 

 記者…市長選を振り返って、今回の選挙戦の率直な感想は。
 市長…今回の選挙では2期8年、何をしたかという訴えではなく、松戸市がどんな風に変わってきているか、松戸が良い方向に向いているということを訴えた。人口の増加、保育園の待機児童のゼロ、犯罪件数の減少。市長だけでなく、市民みんなでやってきた成果だ。駅頭などでも、少しずつ松戸が変わってきている、さらに進めてほしい、といった声をいただいた。
 記者…投票率は29・33%と低かったですね。

初登庁。玄関前で歓迎を受ける本郷谷市長

 市長…先に行われた千葉市長選(29・07%)、再選で注目を集めた市川市長選(33・97%)でも低かった。選挙権が18歳まで引き下がったが、地方選はどうも上がりきらない。下手したら25%を切ることも想定していた。争点がなく、また政策論議ができなかったことも低投票率の要因では。松戸市は借金が多くて、将来子どもたちの負担になるというようなことを主張する候補者がいたが、松戸市の将来負担比率(地方公共団体の借入金〈地方債〉など現在抱えている負債の大きさを、その地方公共団体の財政規模に対する割合で表したもの)はマイナス。負債よりも資産が多い。借金といっても半分ぐらいは下水道債。下水道債は料金で将来回収できる。臨時財政対策債が多いが、これは国が将来払うから、形の上では負債があるが、市の負担にはならない。下水道比率は松戸市はまだ85%ぐらいで、何十年も前に100%になった東京に比べ遅れていた。外環道に下水道の基管が入る予定だが、外環道の工事が遅れたために下水道の整備も遅れていた。(市川市の整備状況にもよるが)早急に100%にしたい。国にも要望している。
 記者…初めて市長となった8年前と比べて、どのように松戸市が変わってきているのか。
 市長…8年前は何事も隣りの柏市と比べるだけで、良いイメージがなかった。国の推計では、松戸は毎年、人口が減っていくという推計。人口減少だと高齢者施策もパンクする。若い人に入ってきてもらわないといけない、というなかで、待機児童をはじめとする子育て施策などを先取りしてやってきた。大きな区画整理等をやっていないのに、松戸市の人口は年に2000人程度堅調に増えている。外から人に来てもらうということの以前に、松戸の市民が自分たちが住んでいる町にプライドを持ってもらわなければいけないと思っている。松戸に生まれてよかった、松戸ってこんなにいいところですよ、という誇り、自信になる材料を今一生懸命作っているというのが僕らの仕事。外に向けて「全国で子育てナンバーワンの町に選ばれたんですよ」と言える。そういったことが一つ一つできてきていて、それが市民の誇りになってくると思う。常磐線の東京乗り入れ、外環の開通など、これからの松戸市への期待感はあると思う。子育て施策などとともに、そうしたことも外にPRしていかなければならない。

 

市庁舎、市民会館、図書館などの移転

 記者…市庁舎の移転や松戸駅舎の改造、伊勢丹の撤退など、松戸駅前のまちづくりについてどのように考えていますか。

職員に就任のあいさつをする本郷谷健次市長

 市長…内閣府が松戸駅周辺地域を都市再生緊急整備地域の候補にしてくれている。指定されると開発への補助や建設への緩和策などが得られる。今、指定に向けていろいろな手続きをしている。一方で国交省が松戸市を選んでくれて、松戸駅周辺地域のまちづくりのコンペをやってくれた。今の市庁舎は耐震性がなく、もちろん応急処置はしているが、早めの建て替え・移転が必要。また、職員一人あたりの面積も少なく狭いため、もっと大きくしなければならない。市民へのサービスをしながら現地で建て替えるのは不可能。イトーヨーカドーの裏に財務省の土地があって、売却しようとしている。中央公園、裁判所や官舎のあたりにも国の土地があるので、それを市が買い、公園用地を入れ替えて、イトーヨーカドーの裏を開発できるようにしたい。イトーヨーカドーも建物を新しくしたいといった意向があることも聞いている。ならば、一緒に商業棟、市役所、市民会館、図書館などを入れて、さらに容積率が余ればマンションも入れて、できるだけ安く作りたい。現在の市役所の土地は売却して、マンションにでもなれば固定資産税も入ってくるし、そこに住民が入れば所得税も入ってくる。豊島区役所は同じようなやり方で負担なく建て替えようとした。ただ豊島区は都心の一等地。松戸市でどの程度負担を軽くできるかはわからない。もっといい案があれば採用するが、今はそういう方向で検討している。時期は未定だが、できれば任期中に一定の道筋をつけたい。松戸駅の工事は、東京オリンピックによる資材の高騰などもあり、JRが再検討に入ったという経緯もあったが、市としてはバリアフリーの工事を優先してほしいと要望した。伊勢丹の撤退は市にとって大きな痛手だが、オーナーも今まで以上によいものを作ろうとしている。テナントと契約している最中で、来年春のオープンを予定していると聞いている。新しい拠点を作るという意味で前向きにとらえたい。北部市場跡にできるショッピングセンターとともに大いに期待している。それに加えて、駅西口の北側、ダイエー周辺で、地権者が再開発に向けて勉強会を行っている。いずれにしても、松戸駅周辺は商業的に活気あるものにしないといけないと思っている。
 記者…その他、千駄堀新駅構想、外環開通についてはどのように考えていますか。
 市長…千駄堀新駅構想はJRと検討している。場所は、昨年末にオープンした松戸市立総合医療センターの近く。ただ駅を作ったとしても利用する人がいないとダメで、万という単位の乗降客が必要。そのため、新駅周辺のまちづくりをしたいと思っている。地権者への説明会も予定しており、順調に進んでいると思っている。新松戸に快速を止めたいという話もしている。外環開通は市にとって、ものすごい戦力になる。後は、北千葉道路ができれば完璧。矢切の物流センターの話もあるが、あれはあくまで民間同士の話で、その推移を見守っていきたい。

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