松戸市立夜間中学校 生徒募集開始
松戸市立第一中学校みらい分校 来年4月開校
来年4月に開校予定の松戸市立第一中学校みらい分校(松戸市立夜間中学校)の生徒募集が始まった。今回は第1期の募集として8月31日まで。応募状況を見ながら、秋以降に第2期の募集も行われる予定。校舎は廃校になった旧古ヶ崎南小学校(古ヶ崎1丁目3073番地)が使われる。 【戸田 照朗】
第1期募集8月31日まで
入学資格は①義務教育の年齢(満15歳)を超えた人、②松戸市内在住の人。市外(千葉県内)の人は住んでいる市町村教育委員会の副申が必要、③中学校を卒業していない人、または、卒業していても不登校等の理由により、学び直しを希望する人、④みらい分校の生活に支障のない人。
授業は年間およそ200日、週5日。中学校の教科を勉強する。教員免許を持っている先生が教える。しっかり勉強すれば、卒業証書をもらうことができる。授業料は無料。
午後5時20分から学級活動。途中休憩を挟んで40分授業で4時間目までが行われる。8時40分から45分まで清掃と学級活動が行われ、下校となる。
英語・国語・数学・理科・社会の基本の5教科を中心に体育や美術、音楽などの授業が行われるが、昼間の中学校に比べると時間数が少ない教科が出てくる。また、部活動は行われず、学校行事については今のところ未定だという。
校舎となる旧古ヶ崎南小は、京成バス古ヶ崎1丁目停留所から徒歩2分。1階が「ふれあい学級」(松戸市適応指導教室)として使われている。夜間中学は2階を改装し、1~3年までの各1クラスと音楽などを行う教室と職員室ができる。教員の人数については県と交渉中だという。
入学希望者は、☎366・7455(平日午前9時から午後4時まで)、FAX368・6506(用紙自由。名前・電話番号を書いて送信。担当課より折り返し連絡)、松戸市教育委員会教育企画課、夜間中学生徒募集担当まで。
学び直す「既卒者」受け入れ
松戸市が夜間中学の開設に動き出したのは、教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)が2016年12月に成立したことが大きい。いじめや、不登校など、学校での問題がいっこうに解決しない中で、夜間中学やフリースクールなどの幅広い学びの場と学習機会を積極的に認めていこうという法律だ。
松戸市では1983年4月に「松戸市に夜間中学校をつくる市民の会」(以下「市民の会」)が発足。市に公立夜間中学の開設を働きかける一方で、現実に教育を求めている人たちに学びの場を提供する目的で同年8月から「松戸自主夜間中学校」を開設してきた。だが、35年間、市に公立夜間中学の開設を求めて交渉を重ねてきたが、いっこうに進展しなかった。
市民の会の榎本博次代表によると、同法の成立を受けて、全国の80を超える自治体で公立夜間中学開設を検討しているが、現時点で開校を表明しているのは松戸市と埼玉県川口市だけ。川口市にも長年、公立夜間中学開設を訴えてきた市民団体がある。全国に先駆けてこの2市が開校を表明したことは偶然ではないだろう。千葉県では市川市立大洲中学に次いで2校目、埼玉県では初の公立夜間中学となる。
不登校などで実際に学校に来ておらず、出席日数が足りなくても「学校側の配慮」という形で卒業証書を出すことを「形式卒業」という。同法では形式卒業者(文科省は「入学希望既卒者」と呼んでいる)を夜間中学に受け入れられるようになったことが画期的だ。これまでは義務教育を既に終了しているという理由で、入学が認められなかった。
松戸市の入学資格でも、形式卒業者の入学は認められている。しかし、榎本代表は市外の松戸市在勤者に入学資格がないことや、「みらい分校の生活に支障のない人」という項目があることに「障がいがある人などは受け入れられないのではないか」と懸念を示す。この点について、担当する教育企画課では「年間200日、松戸第一中学校と同じ教育課程の日数で行うので、毎日通う意思のある方というのが大きな条件になる。(障がいのある方については)施設の問題もあるので、ご相談ということになります」としている。
榎本代表は「文科省が今までと方針を180度転換した新法施行後初の公立夜間中学開校になるということで松戸市は全国的に注目されている。それだけに入学者の門戸を広げて、柔軟に対応して欲しい」と話していた。
来月25、26日には森のホール21会議室で夜間中学増設運動全国交流集会が開かれる。